西日本皮膚科
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治療
皮膚乾燥性疾患に対する低刺激性スキンケア剤の安全性および有用性の検討
古賀 哲也中原 剛士古江 増隆阿部 淑子松中 浩利谷 昭人
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2004 年 66 巻 6 号 p. 615-620

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抄録

アトピー性皮膚炎や乾皮症など, 皮膚の乾燥症状を呈する患者に対して, いわゆる敏感肌用に開発された洗浄剤および保湿剤の使用試験を実施し, その安全性と有用性を検討した。洗浄剤は皮膚の保護作用を有するL-アルギニンを配合し2種類の脂肪酸からなる液体の脂肪酸石けんであり, 保湿剤は保湿作用を有するトリメチルグリシンを配合した白色ワセリンを乳化したローション製剤である。洗浄剤は39例, 保湿剤は43例の患者に対して4週間継続使用し, それぞれ37例および41例に安全性を確認した。また保湿剤については, 医師が皮膚所見などから総合的に有用性を評価するとともに, 患者自身に乾燥と痒みの程度を, 毎日, 日誌に記録してもらい, 自覚症状の変化を経時的に観察した。その結果, 医師による皮膚症状の他覚的評価において40例に有用性を, 患者自身の乾燥と痒みの自覚的評価スコアにおいて有意な改善を認めた。これらのことから, 本試験に供した洗浄剤および保湿剤は, 乾燥性皮膚に対し安全に使用でき, かつ保湿剤は乾燥と痒みという皮膚症状を改善し得る有用性の高いスキンケア剤であることが明らかとなった。

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© 2004 日本皮膚科学会西部支部
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