2005 年 67 巻 4 号 p. 337-340
55歳の男性。爪甲の変形と両足関節の疼痛腫脹が出現し受診した。初診時,両手指・足趾のばち状指を認め,肺性肥大性骨関節症との関連を考え,胸部X線撮影を行ったところ,右上葉に径8.0cmの腫瘤を認めた。精査の結果,肺癌と診断。病理組織型は扁平上皮癌であった。また,長管骨X線像では骨膜肥厚がみられ,骨シンチグラフィーで骨膜に集積像がみられた。以上の臨床,検査所見から肺性肥大性骨関節症と診断した。右上葉切除術施行後,ばち状指は改善,足関節の腫脹は消失し,骨シンチグラフィーで集積像が減少した。術後化学療法を施行し,皮膚所見の再燃や肺癌の再発はみられていない。