西日本皮膚科
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症例
境界反応を呈したハンセン病の1例
小串 葉月田上 俊英木下 美佳大石 空野上 玲子石井 則久小野 友道
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2005 年 67 巻 4 号 p. 367-372

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抄録

症例は89歳女性。当初サルコイドーシスを疑い,プレドニゾロン,ミノサイクリンによる治療を行ったが,皮疹は軽快せず,皮疹部の知覚鈍麻,大耳介神経,眼窩上神経の肥厚を認めたため,ハンセン病を疑った。皮膚病理組織検査,及びFite染色にて,泡沫細胞内に多数の桿菌を認めたこと,さらに皮膚検体からのPCR法にてらい菌(M. leprae)特異的DNAが検出され,臨床症状,菌指数,病理組織所見よりBL型のハンセン病と診断した。ジアフェニルスルホン(DDS),リファンピシン,クロファジミンの投与を行い,皮疹は軽快したが,治療開始1ヵ月後に再燃をみた。四肢末梢の疼痛も増悪し,境界反応と診断した。プレドニゾロン20mgの追加投与を行い,皮疹の軽快が見られ,神経伝導速度で神経障害の改善を認めた。電気生理学的検査が境界反応の神経障害の評価に有用であった例で,プレドニゾロン減量の指標として役立った。

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© 2005 日本皮膚科学会西部支部
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