西日本皮膚科
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治療
蕁麻疹に対する持続性選択ヒスタミンH1受容体拮抗薬ロラタジンの有用性の検討
―治療終了後の再発に対する検討を含めて―
田代 研児中山 樹一郎七隈ロラタジン研究会
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2005 年 67 巻 4 号 p. 404-411

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抄録

急性蕁麻疹および慢性蕁麻疹に対して,鎮静性が低い抗アレルギー剤のロラタジンを用いた臨床効果を寛解導入療法と維持療法にわけて検討した。急性蕁麻疹33例における寛解導入療法における全般改善度の著明改善例は16例(48.5%)で,中等度改善例は13例(39.4%)であった。慢性蕁麻疹の34例における寛解導入療法における全般改善度の著明改善例は20例(58.8%)で,中等度改善例は10例(29.4%)であった。導入療法有効例には維持療法が実施されたが,その全般改善度は,急性蕁麻疹で21例中20例,慢性蕁麻疹の28例中23例で効果がみられた。症状の消失率は急性蕁麻疹において84.8%で,慢性蕁麻疹において73.5%であった。また,日中のかゆみ,夜間のかゆみ,発斑の症状をスコア化し,治療前と比較したところ,導入療法終了後および維持療法終了後ともに有意に低下していた(p<0.0001: Wilcoxon matched pairs signed rank test)。症状の消失した急性蕁麻疹28例と慢性蕁麻疹25例について,ロラタジン投与終了後2ヵ月間以上経過後の再発について確認したところ,急性蕁麻疹では,21例中17例(81.0%),慢性蕁麻疹では21例中13例(61.9%)が無再発であった。副作用(有害事象)は,急性蕁麻疹ではみられず,慢性蕁麻疹では1例(2.9%)に眠気がみられた。ロラタジンは,鎮静作用も少なく臨床効果も確実なことから蕁麻疹の薬物療法として有用であることが示唆された。

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© 2005 日本皮膚科学会西部支部
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