抄録
成人アトピー性皮膚炎患者104例を対象に,0.1%タクロリムス軟膏による躯幹,上肢,下肢の皮疹およびそう痒改善効果をスコア評価にて24週間検討した。急性病変の紅斑および丘疹は治療開始2週後には有意に改善し,その後も観察終了時までさらに改善が認められた。そう痒も2週後には有意に改善し,その後もさらに改善が認められた。慢性病変の痒疹結節および苔癬化の改善は緩やかであり時間は要するものの,24週後には有意な改善を示した。塗布時の刺激感は全期間を通して20%以下であり,有害事象により塗布を中止した症例は3例(皮膚感染症2例,刺激感1例)であった。以上より,タクロリムス軟膏は躯幹・四肢のアトピー性皮膚炎を長期にわたり,安全かつ有効にコントロールできる薬剤であることが示唆された。