抄録
表皮は環境中のさまざまな病原体に常にさらされている。表皮は物理的なバリヤーであると同時に,表皮自身が独自の病原体の認識・排除機能を持ち,リンパ球の関与しない自然免疫の生体防御機構を持っている。表皮角化細胞は最初に病原体に接触する細胞としてTLRを介して病原体を認識し,さらに抗菌活性を持つペプチドを産生することにより病原体から生体を防御している。アトピー性皮膚炎においてはこの自然免疫のバリヤーが破綻し易感染性につながっている。また,MRSAは抗菌ペプチドに対して抵抗性を有しており,容易に皮膚に定着する。