西日本皮膚科
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治療
SCIOを用いた趾爪白癬に対するイトラコナゾールの臨床効果の検討
上出 康二大谷 稔男廣井 彰久古川 福実
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2007 年 69 巻 2 号 p. 186-191

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抄録

爪真菌症を対象とした経口抗真菌薬の臨床試験は多数行われているが,報告された治癒率には大きな幅がみられる。この一因として,重症度が異なる症例が臨床試験に組み込まれていることが考えられている。経口抗真菌薬の臨床試験では,試験対象例の重症度判定は混濁比を中心に行われていることが多く,治療期間を左右する爪の伸長速度や経口抗真菌薬の爪への到達度を左右する爪の肥厚などが加味されていることが少ない。今回,我々はSergeevより提唱されたSCIO(Scoring Clinical Index for Onychomycosis/爪真菌症の複合的臨床評価基準)による重症度分類を用い,イトラコナゾールの趾爪白癬に対する臨床効果を評価した。試験対象となった趾爪白癬患者は,投与開始前のSCIO平均スコアが20.5と比較的高く,SCIOに基づいたガイドラインで「経口抗真菌薬+外用療法(尿素製剤などによる病爪除去や抜爪)」が勧められる重症例が多かった。しかし,イトラコナゾール400mgパルス療法開始6ヵ月後には,SCIOスコアは7.5まで改善し,総合臨床効果判定においても,治癒率が52.6%,有効率が89.4%と高い有効性を示した。また,投与開始前のSCIOスコアが高い例に対してもイトラコナゾールパルス療法は高い有効率を示した。今回の試験結果から,SCIOを用いた評価においてもイトラコナゾールパルス療法は趾爪白癬に対して有用であることが示唆された。

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© 2007 日本皮膚科学会西部支部
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