西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
治療
重症成人型アトピー性皮膚炎患者を対象としたシクロスポリンMEPCの前期第II相試験:
多施設共同,ランダム化,オープンラベル,並行群間比較試験
ネオーラル® によるアトピー性皮膚炎治療研究会
著者情報
ジャーナル 認証あり

2008 年 70 巻 5 号 p. 541-552

詳細
抄録

従来の治療に抵抗を示す重症の成人型アトピー性皮膚炎患者(18歳以上65歳未満)を対象として,シクロスポリンMEPC(ネオーラル®)の有効性,安全性ならびに初期有効投与量を検索する目的でランダム化オープン比較試験を実施した。ネオーラル®は1日2回,4週間経口投与とし,被験者は1,3,5mg/kg/日の3用量をランダムに割付けられた。試験中は経口·外用ステロイド剤等の併用を禁止し,重症度と罹病範囲の評価には8カ所の身体的部分に分割し,4項目の所見を評価するスコアシートを用いた。本治験には106例が組み入れられた。このうち105例(1,3,5mg/kg/日群それぞれ34例,37例,34例,以下同順序で被験者数を示す)にネオーラル®が投与され,有効性の解析には93例(28例,33例,32例)が採用された。各群の重症度スコアの最終変化率は-21.4%,-40.2%,-66.7%,罹病範囲スコアの最終変化率は-10.4%,-26.1%,-39.4%で,両スコアとも高用量群ほど改善が大きかった(いずれもp<0.001,直線性の検定)。皮疹の最終全般改善度の改善以上を示したのは28.6%,60.6%,96.9%,そう痒の最終改善度の改善率は10.7%,48.5%,90.6%であった。各群とも忍容性は良好であったが,5mg/kg/日群では有害事象と腎機能に関する臨床検査値の異常変動発現率が高かった。以上から,ネオーラル®の開始用量は3mg/kg/日群が望ましいと判断した。

著者関連情報
© 2008 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top