西日本皮膚科
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治療
蕁麻疹患者に対するセチリジン塩酸塩の治療効果とQOLの検討
竹中 基佐藤 伸一
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2009 年 71 巻 2 号 p. 186-191

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抄録

蕁麻疹は繰返し発現する膨疹やそう痒によりQOLが低下すると考えられるが,治療効果においてQOLを検討した報告は少ない。そこで,セチリジン塩酸塩が蕁麻疹患者のQOLに与える影響を検討した。蕁麻疹患者26名にセチリジン塩酸塩10mgを1日1回4週間経口投与し,皮膚症状,そう痒(VAS),眠気の程度,QOL(DLQI)を評価した。なお,5名が脱落中止となり,21名(平均52.6±13.5歳,男9名,女12名)が評価対象であった。セチリジン塩酸塩の投与により,多くの症例で症状が軽減しており,有意な効果が認められた。VAS値によるそう痒の推移は試験開始前の64.0から試験終了時13.7と有意に改善していた。試験終了時に8名は皮膚症状,そう痒ともに完全消失していた。眠気については,19.2%で強い眠気を感じていたが,症状が改善されれば全例が治療に満足していた。逆に効果がなければ眠気に関わらず,全例が治療に対して不満であるとしていた。QOLについては,試験開始前の総合得点は4.8であり,下位尺度では「症状・感情」2.7,「日常活動」1.2,「仕事・学校」0.7であった。試験終了時には,総合得点が1.3と有意な改善が認められ,他の尺度も有意な改善を認めた。以上の結果より,医師による評価のみならず,患者自身による評価であるVAS値(そう痒の推移)やDLQIにても改善が認められたことにより,セチリジン塩酸塩は蕁麻疹に対し,非常に有用な薬剤であると考えられた。

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© 2009 日本皮膚科学会西部支部
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