西日本皮膚科
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症例
相撲部内で再発を繰り返したTrichophyton tonsurans感染症男子例
芦田 美輪藏岡 愛西村 香織芦塚 文美牛島 信雄本間 喜蔵西本 勝太郎岩田 貴子竹中 基佐藤 伸一
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2010 年 72 巻 1 号 p. 43-47

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抄録
15歳(中学生),地元相撲クラブの男子。体幹,四肢の鱗屑を伴う紅斑と左側頭部のBlackdot ringwormにて2007年3月に当科を受診した。Trichophyton tonsurans(T. tonsurans)を分離し,塩酸テルビナフィンの3ヵ月間内服にて治癒した。高校の相撲部に入部後も再発を繰り返し,その都度治療により治癒した。再発のたびに頭髪のhair brush法にてコロニー数を確認した。部内における皮膚の症状を認める部員は,試合や遠征合宿の後に増加する傾向にあった。アンケートによる調査で,顧問教官の指導がなく,T. tonsurans感染症の認識に乏しいことが分かり,再発を繰り返す原因として無症候性キャリアーの存在が考えられた。小・中学生の相撲クラブとの交流もあり,さらなる感染の拡大を防止するためにも,継続的な集団検診,指導者への啓発,治療の徹底が重要と考えた。
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© 2010 日本皮膚科学会西部支部
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