西日本皮膚科
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症例
サイトメガロウイルス感染症によって増悪したと考えられる壊疽性膿皮症の1例
佐藤 秀英川本 導史後藤 瑞生竹尾 直子片桐 一元藤原 作平
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2010 年 72 巻 3 号 p. 197-200

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抄録

66歳,女性。1984年に,全身性エリテマトーデスおよび抗リン脂質抗体症候群を発症し,入院加療を繰り返していた。2005年11月より,左下腿伸側に隆起性皮疹が出現,徐々に多発し,その後右下腿にも隆起性皮疹と小豆大の皮膚潰瘍が多発するようになった。皮膚生検にて壊疽性膿皮症と診断された。ステロイドとシクロスポリンの併用内服を開始し皮膚潰瘍はやや改善した。2006年6月より,腰部から右大腿部にわたる蜂窩織炎様皮疹を発症し,抗生剤投与にて改善したが,両下腿の皮膚潰瘍が増悪したため,当院入院となった。入院後,ステロイドとシクロスポリンの併用を継続していたが,著明な血小板数の減少をきたし,血中にサイトメガロウイルス陽性細胞も認め,ガンシクロビルを投与したところ,サイトメガロウイルス陽性細胞の陰性化と共に血小板数の改善および潰瘍の改善を認めた。経過より血小板数の減少および皮疹の増悪はサイトメガロウイルス感染症が原因と思われた。ステロイドの増減を経て,2007年3月より,プレドニゾロン15mg/日にて壊疽性膿皮症の病勢は落ちついた。以後両下腿の皮膚潰瘍および全身状態は安定していたが,2007年11月下旬より,腹部膨満,乏尿を認め,全身状態が急激に増悪し,2008年1月,永眠した。剖検の結果,腸病変は偽膜性腸炎と診断された。

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© 2010 日本皮膚科学会西部支部
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