西日本皮膚科
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治療
円形脱毛症に対するt-フラバノン配合ローションの有用性の検討
伊藤 幸恵籏持 淳林 周次郎沖田 博濱崎 洋一郎山崎 雙次笹嶋 美知代森脇 繁北原 隆
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2010 年 72 巻 5 号 p. 507-513

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抄録

円形脱毛症の治療は,5%塩化カルプロニウムやステロイド剤の外用による治療が主に行われており,また施設によってはSADBE(squaric acid dibutylester)などを用いた局所免疫療法も行われているがその治療法は限られている。今回我々は,単発性円形脱毛症および脱毛斑3個以内の多発性円形脱毛症と診断された患者に対し,併用薬剤として全例にグリチロン3錠,セファランチン3錠(1日3回朝昼晩に各1錠)を投与しつつ,0.1% t-フラバノンを含有する試験製剤またはプラセボ製剤を1日2回,原則3ヵ月間,適量を脱毛部位に塗布し,その有用性を検討した。最終判定時に他覚所見の全般改善度を判定し,さらに副作用の有無や経過から総合判定(有用度判定)を行った。その結果「有用以上」と判定された割合が,プラセボ製剤使用群で27%であるのに対し,試験製剤使用群では85%であり,危険率5%未満の有意差をもって,t-フラバノン配合ローションの有用性が高かった。開始時の所見で脱毛部位に新生毛がない被験者に限って比較した場合でも,プラセボ製剤使用群では29%,試験製剤使用群では全員が「有用以上」であり,危険率5%未満の有意差をもって,t-フラバノン配合ローションの有用性が高かった。これらの結果から,円形脱毛症患者においてt-フラバノン配合ローションの有用性が高いことを確認した。

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© 2010 日本皮膚科学会西部支部
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