西日本皮膚科
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治療
適切な顔面のスキンケアがアトピー性皮膚炎患者の皮膚生理機能と QOL に及ぼす影響
菊地 克子小澤 麻紀相場 節也森田 栄伸
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2013 年 75 巻 1 号 p. 65-71

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抄録

2009 年 11 月から 2010 年 5 月の間,東北大学病院および島根大学医学部附属病院を定期的に受診し外用ならびに内服治療によって症状が安定している 20 歳以上のアトピー性皮膚炎患者 40 例の顔面に対し,スキンケア指導とともにスキンケア剤を 8 週間使用した。担当医師は,試験開始時に患者に対し洗顔や保湿方法を指導し,スキンケア剤として乾燥性皮膚に対し開発された「ノブ ® シリーズ」を使用させるとともに皮膚生理機能と QOL への影響を検討した。全例において 8 週間の継続使用ができた。1 例において塗布部位での紅斑と乾燥の軽度の悪化を認めたが,試験品との因果関係は不明であった。試験開始時および終了時に担当医師による皮膚所見を得て,さらに角層水分量,経表皮水分喪失量,皮表脂質量,テープストリッピングにより得た皮表角層細胞の細胞面積,角層中のセラミドおよびロリクリンなどを測定し,皮膚疾患特異的 QOL 尺度である Skindex-16 とともにそれぞれに有意な差を認めた。これらの結果から,医療治療によって症状が安定しているアトピー性皮膚炎患者に対し,適切なスキンケア (スキンケア指導およびスキンケア剤) が皮膚生理機能と QOL を改善することが明らかとなった。

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© 2013 日本皮膚科学会西部支部
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