抄録
63 歳,男性。2001 年より右足底に痛みが出現し,2003 年に右足底に痛みを伴う腫瘤が 1 個あるのを自覚した。無治療で放置していたが徐々に腫瘤が増大し疼痛が増強してきた。受診時,右足底母趾球部に圧痛を伴う 25 × 30 mm のなだらかに隆起する紫紅色腫瘤を1 個認めた。画像所見では,内部エコーが不均一な hypo-echoic mass を認め,MRI では内部信号が T2 強調脂肪抑制画像で不均一,拡散強調画像で高信号を呈する腫瘤であった。病理組織学的には,毛細血管周囲に短紡錘形,卵円形の異型性に乏しい腫瘍細胞が同心円状に増殖しており,筋周皮腫と診断した。本邦で報告されている筋周皮腫で,疼痛の記載のあるものは,41 例中 25 例 (61%) と高率であった。皮膚の疼痛を伴う腫瘍では筋周皮腫も鑑別に挙げられるべき疾患と考えた。