西日本皮膚科
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治療
腎機能障害を有する帯状疱疹患者に対するファムシクロビルの有効性と安全性の検討 (特定使用成績調査)
草刈 良之谷田 宗男江川 貞恵吉田 寿雄新郷 敏彦中村 圭吾山本 由美子山崎 研志相場 節也
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2014 年 76 巻 1 号 p. 44-51

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抄録

腎機能低下を示す日本人帯状疱疹患者での抗ヘルペスウイルス薬安全性の前向き検討は報告がない。本調査では,腎機能低下を示す日本人帯状疱疹患者に対するファムシクロビル (以下 FCV) の有効性と安全性を前向きに検討した。FCV 投与開始前のクレアチニンクリアランス (以下Ccr) が60~90ml/min 群,40~59 ml/min 群,20~39 ml/min 群,20 ml/min 未満群の各群でそれぞれ 10 例以上,内 9 例の透析患者を含む計53 例が登録され,初診時の患者背景と腎機能低下の程度を考慮して添付文書記載の減量方法に沿って FCV を処方した。FCV 投与開始時および投与終了後 2 週間を目安として全般改善度,疼痛の程度,副作用の有無を評価したところ,全般改善度が「著明改善」あるいは「改善」と判定された患者の割合 (改善率) は 90.4%であった。その他は「やや改善」と判断され,「不変」・「悪化」と判定された患者はなかった。完全痂皮化するまでの日数の 50%点は 8 日であり,疼痛残存率の 50%点は 21 日であった。Ccr 別改善率では,20 ml/min 未満の群 (75.0%) と透析患者群 9 例 (77.8%) はその他の群に比べてやや低い傾向であったが,統計学的有意差は認められなかった。副作用は全例で認められなかった。これらの結果は,透析患者を含む腎機能低下患者に対して,適正使用下でのFCV の有効性と安全性を確認したものである。

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© 2014 日本皮膚科学会西部支部
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