西日本皮膚科
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症例
妊娠中に発症した肉芽腫性乳腺炎に伴った結節性紅斑の1例
黒木 りえ樋口 睦美山口 美奈川元 俊二今福 信一
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2014 年 76 巻 6 号 p. 540-545

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抄録

当院産婦人科で妊娠の経過をみられていた 39 歳の女性。妊娠 27 週に左乳房に有痛性の皮下硬結出現した。妊娠 31 週に両下腿に有痛性紅斑が多発し,手足の関節痛を伴っていた。両下肢痛で歩行困難となり当院産婦人科に入院した。妊娠に伴う結節性紅斑と診断し,プレドニゾロン (PSL) 20mg/日の内服を開始し,下腿の紅斑は軽快した。また,左乳房の硬結が増大し,当院外科で画像診断上炎症を伴う乳癌が疑われ,針生検の結果乳癌と診断された。早期の乳癌治療目的で妊娠帰結の方針となり,妊娠 34 週で PSL 内服を終了し,帝王切開術を施行した。産後 2 日目より発熱,関節痛が再燃し,下腿の有痛性紅斑も残存するため下腿の紅斑の皮膚生検を施行した。病理組織像は結節性紅斑であった。臨床・経過より,結節性紅斑を伴う肉芽腫性乳腺炎を疑い,産後 26 日目に再度施行した左乳房の針生検の結果,肉芽腫性乳腺炎と診断された。PSL 30 mg/日から内服を開始し以後漸減して,下腿の結節性紅斑は消退し,左乳房の硬結も軽快した。

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© 2014 日本皮膚科学会西部支部
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