2016 年 78 巻 3 号 p. 262-265
31 歳,女性。血液疾患の既往はない。3 カ月前より自覚する左乳腺腫瘍を当科初診 8 カ月前に前医で切除し,良性と診断されていた。術後 5 カ月より手術創部に褐色丘疹および皮下結節が出現し,増大傾向のため当科を受診した。当科初診時,左乳輪に疣状の褐色結節,左胸部に皮下に 40 mm ほどの硬結を認めた。皮膚生検にて真皮内に大型不整形細胞が稠密に浸潤していた。免疫染色にて CD68,CD117 陽性,CD3,CD4,CD10,CD20,CD34,CD56 陰性であった。骨髄検査では異常細胞を認めなかった。以上より myeloid sarcoma と診断した。本人の希望にて診断 2 カ月後より他院で化学療法を施行したが寛解に至らなかった。その後 5 カ月の治療自己中断を経て当院血液内科を受診したが,その際には急性骨髄性白血病を発症していた。現在化学療法を施行中で,今後骨髄移植予定である。稀な疾患である myeloid sarcoma において珍しい臨床像を呈していたため報告する。