西日本皮膚科
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症例
全身型掌蹠膿疱症の 1 例
大園 綾花南里 文阿部 俊文名嘉眞 武国
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2016 年 78 巻 6 号 p. 595-599

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抄録

69 歳,男性。2014 年 10 月に近医皮膚科で前胸部痛を伴った掌蹠膿疱症と診断され加療していた。2014 年 12 月に膿疱と鱗屑を伴った紅斑局面が全身に多発し,前胸部痛も増強した。全身状態は良好であり,経過中に発熱はなかった。病理組織学的に角層下に単房性の膿疱を認め,膿疱周囲の表皮には海綿状態を呈する部分はなく,血管炎の所見もなかった。炎症所見の上昇があったため,病巣感染疑い抗菌薬を使用したところ症状は速やかに改善した。2015 年 1 月に再発したため,エトレチナートを投与し,抗菌薬を再投与したところ掌蹠外病変は速やかに消退し,掌蹠の症状は徐々に改善した。扁桃誘発試験陽性であり,扁桃摘出術が施行された。扁桃摘出後に,再度掌蹠と掌蹠外病変が出現したが,抗菌薬の内服で症状は改善し,その後皮疹の再燃はない。診断として,扁桃炎や骨関節炎を合併し,全身症状を伴わない皮疹が再発し,病理組織学的に血管炎を伴わないことから,全身型の掌蹠膿疱症とした。病巣感染が疑われる場合は,抗菌薬の投与が治療の選択肢の一つであると考えた。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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