西日本皮膚科
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症例
臍部腫瘍の 2 例
佐々木 諒山口 和記今泉 敏史日浦 ゆかり今福 信一
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2016 年 78 巻 6 号 p. 625-629

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抄録

症例 1:46 歳の女性。1 年前より臍部に腫瘤を自覚し,増大傾向があり出血も伴うようになり受診した。臍窩に 25×20 mm の淡紅褐色の弾性硬の結節を認めた。CT では腹腔内との連続性ははっきりせず,生検にて線毛円柱上皮の腺腔構造を島状に認め,異所性子宮内膜症と診断し,局所麻酔にて切除した。症例 2:73 歳の男性。臍部に腫瘤があり,排膿を繰り返すため当科を受診した。臍窩に 15×15 mm の暗紫色の弾性硬の結節を認めた。CT では腹腔内との連続性は認められず内部に囊胞性病変が認められ,局所麻酔にて切除した。病理組織学的所見は線維芽細胞の増殖と膠原線維の増生を伴い,内部に重層扁平上皮の囊胞様構造を認め,瘢痕組織に被われた表皮囊腫と診断した。内視鏡的胆囊摘出術の既往があり,その手術の際に瘻孔状に上皮が迷入し,肥厚性瘢痕になったものと考えられた。臍部に生じる腫瘤は腹腔内と交通しているものもあり,帝王切開や腹腔鏡手術等の既往がある例では腹膜や大網と癒着している場合もあるため術前に画像診断等で十分な検討が必要である。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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