西日本皮膚科
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症例
水疱性類天疱瘡 (BP) の治療中に Stevens-Johnson 症候群/中毒性表皮壊死症 (SJS/TEN) を合併した 1 例
青木 奈津子中島 喜美子若嶋 千恵志賀 建夫神野 義行佐野 栄紀
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2017 年 79 巻 4 号 p. 353-356

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抄録

75 歳,女性。初診 2 カ月前から体幹・四肢に水疱が生じ,近医皮膚科で水疱性類天疱瘡(BP)と診断され,ステロイド内服治療が開始された。初診 1 カ月前,外傷性アキレス腱断裂の外科手術に際してステロイド内服を中断したところ,緊満性水疱が多数新生した。術後,ステロイド内服を再開したが,皮疹が悪化したため,当科を紹介された。初診時,体幹・四肢に水疱とびらんを伴う多形紅斑様の紅褐色斑が散在し,その後急速に紅斑が拡大し,広範囲のびらんを生じた。Nikolsky 現象陽性であり,口唇にもびらんがみられた。病理組織学的に,基底細胞の液状変性と多数の個細胞壊死があり,蛍光抗体直接法では基底膜部に IgG が線状に沈着していた。血清中の抗 BP180 抗体が高値であった。以上より,Stevens-Johnson 症候群/中毒性表皮壊死症(SJS/TEN)を合併した BP と診断した。内服中の薬剤を中止または変更した上で,ステロイドパルス療法,免疫グロブリン大量静注療法を施行したところ,水疱の新生は止まり,紅斑も褪色し治癒した。SJS/TEN の原因として薬剤性を疑ったが,原因薬剤を確定することはできなかった。また,合併したサイトメガロウイルスの再活性化に対しても治療を行った。

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© 2017 日本皮膚科学会西部支部
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