西日本皮膚科
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症例
シクロスポリン内服が有効であった後天性表皮水疱症の 1 例
中家 理紗和田 麻衣子内 博史石井 文人橋本 隆古江 増隆
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2017 年 79 巻 5 号 p. 463-467

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抄録

83 歳,女性。初診の約 5 カ月前より両下腿から足関節部,臀部に水疱が生じた。その後も水疱の新生が続くため当科に紹介され受診した。両足背,下腿,腰部,大腿に緊満性水疱が多発し,病理組織検査では表皮下水疱と真皮上層の血管周囲にリンパ球の軽度浸潤を認めた。蛍光抗体直接法では表皮基底膜部に IgG の線状沈着を認め,1M 食塩水剝離皮膚を基質とした蛍光抗体間接法では IgG が真皮側に陽性,Ⅶ型コラーゲンリコンビナント蛋白の enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA) (IgG 抗体) が陽性,真皮抽出液を用いた免疫ブロット法で 290 kDa の後天性表皮水疱症 (epidermolysis bullosa acquisita:EBA) 抗原に IgG が陽性であったため EBA と診断した。プレドニゾロン 25 mg(0.5 mg/kg)/日内服を開始したが改善せず,約 1 カ月後よりシクロスポリン 50mg(1 mg/kg)/日内服を開始し,1 週間後に 75 mg(1.6 mg/kg)/日に増量した後皮疹は改善した。シクロスポリンで加療された EBA の過去の症例での経過について文献的考察を加え,シクロスポリンの有用性について報告する。

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© 2017 日本皮膚科学会西部支部
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