西日本皮膚科
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図説
直腸癌の多発皮膚転移
加瀬 貴美加藤 潤史澄川 靖之肥田 時征杉田 真太朗宇原 久
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2018 年 80 巻 3 号 p. 181-182

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抄録

症例:67 歳,男性
主訴:多発性丘疹,結節
既往歴:58 歳時;直腸癌(pStageⅢa),62 歳時;肺転移,64 歳時;両下肢リンパ浮腫Ⅲ期
現病歴:66 歳時に左大腿に紅色の皮疹が出現した。近医でリンパ浮腫に伴う acquired lymphangioma と診断され,弾性包帯着用で経過観察されていたが,徐々に増大していた。一方,直腸癌切除後より化学療法が継続されていたが,S 状結腸穿孔のため当科を受診する 2 カ月前に中止された。その後,大腿の皮疹は急速に悪化した。
現症:腹部,陰股部,左下腿に大小様々なドーム状の紅色丘疹・結節が多発していた(図1)。
病理組織学的所見:真皮内に管腔構造を伴う腫瘍胞巣があり,大型の核を持つ異型細胞や核分裂像がみられ(図2 a,b),直腸癌原発巣(図2 c),および肺転移組織所見(図2 d)と同様であった。また,免疫組織化学染色では,皮膚転移,直腸癌原発巣,肺転移の腫瘍細胞はいずれも CDX2と CK20 が陽性で,CK7は陰性であった。 なお,D2-40 抗体でリンパ管を染色したが,リンパ管内に明らかな腫瘍組織は認められなかった。また明らかに拡張したリンパ管も認められなかった。
診断:直腸癌の多発皮膚転移
臨床経過:皮膚転移診断の 1 カ月後に全身状態の悪化により永眠した。

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