西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
プレガバリンによる多形紅斑型薬疹の 1 例
岩永 知未井上 卓也成澤 寛
著者情報
ジャーナル 認証あり

2019 年 81 巻 6 号 p. 465-468

詳細
抄録

70 歳,女性。脊髄腫瘍手術後に軽度左下肢麻痺があり,3 年前よりプレガバリンと他 3 剤を内服していたが,当科初診の 4 日前より紅斑が出現した。体幹・四肢に typical target lesion がみられ,皮膚生検にて空胞変性,個細胞壊死を認めた。DLST にてプレガバリンのみ陽性で,内服薬の中止とステロイド内服にて症状が消退したことから,プレガバリンによる多形紅斑型薬疹と診断した。プレガバリンによる薬疹の報告は,これまでに国内外で 6 例と非常に稀である。自験例も含めた 7 例中では,多形紅斑型が 2 例,薬剤性過敏症症候群が 1 例と,比較的重症な薬疹が多かった。また,プレガバリン内服開始から薬疹発症までの期間については,紅斑丘疹型などでは 2 週間~1 カ月であったのに対し,多形紅斑型の 2 例はそれぞれ 11 カ月,約 3 年(自験例)と長かった。プレガバリンは,皮膚科領域でも帯状疱疹後神経痛に用いることが多く,その使用頻度は高くなっているが,長期内服中であっても薬疹に注意が必要な薬剤である。

著者関連情報
© 2019 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top