西日本皮膚科
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図説
救急外来を受診したヘアターニケット症候群
丸田 志野西 智美押川 由佳守屋 千賀子
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2020 年 82 巻 6 号 p. 403-404

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抄録

症例:0 歳 2 カ月,男児主訴:右第 2 趾の腫脹

現病歴:入浴から約 2 時間後,患児の兄が右第 2 趾の色調変化に気付いた。両親が見たところ第 2 趾基部が絞扼し末梢側が赤く腫れており,救急外来を受診した。患児を入浴させた際異常には気付かなかった。

初診時現症:機嫌・活気良好。第 2 趾基部に索状痕あり,末梢側に発赤・腫脹を認めた。絞扼部は浅い裂創になっており滲出液が付着していた(図 1 a)。

診断および治療:第 2 趾を背屈して絞扼部を露出させると,足底側に黒色調の異物を認めた(図 1 b)。鑷子で異物を掴むとまず糸くずが取れて,続いて糸くずに絡みついて毛髪が露出した(図 2 )。毛髪を第 2~3 趾間から足背側へ 1 周回すと抵抗なく外れた。除去した毛髪は約 2.5 cm で両親の毛髪と比較すると非常に細く,長さ・色調は児本人の毛髪と差異なく,児本人の毛髪によるヘアターニケット症候群と診断した。30 分後,索状痕は残存しているが capillary refilling time<1 秒と循環不全を疑う所見は認めず翌日外来受診とした。翌日絞扼部の裂創は閉鎖していたが,腫脹・索状痕は残存したままであった。2 週間後に再診した際は第 2 趾の腫脹・索状痕は消失しておりフォロー終了とした。

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