西日本皮膚科
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図説
抗菌薬が奏効した白色海綿状母斑
志賀 建夫
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2021 年 83 巻 6 号 p. 497-498

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抄録

患者:40 歳,女性

主訴:口腔頰粘膜の白色局面

現病歴:数年前から年に数回,両側頰粘膜に白色局面を生じるようになった。ざらつき,病変からの粘膜剝脱を繰り返すものの 1 カ月程度で自然に軽快していた。家族内に同様の症状を有するものはいない。

現症:両側頰粘膜に境界明瞭な浮腫状の白色局面がみられた(図 1 )。

病理組織学的所見:粘膜上皮が著明に肥厚していた。基底層は保たれているものの,それより上方の粘膜上皮細胞には空胞状の腫大がみられた(図 2 )。

診断および治療:初診時,生検に同意が得られず,扁平苔癬を考えステロイド外用を行うも効果は得られなかった。1 カ月ほどで軽快したが,数カ月後に同様の病変が出現し,特徴的な病理組織所見とあわせ白色海綿状母斑と診断した。クラリスロマイシン内服(400 mg/日,7 日間)を行い 1 週間ほどで病変は消失した(図 3 )。数カ月後の再発時も同様の抗菌薬内服で症状は改善し,以後2 年にわたり再発はみられていない。

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