整形外科と災害外科
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血液透析患者における大腿骨近位部骨折手術症例の検討
松田 匡弘志田原 哲仙波 英之北村 貴弘末永 英慈
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2008 年 57 巻 4 号 p. 538-540

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抄録

血液透析患者に発生した大腿骨近位部骨折に対して,骨接合術・人工骨頭置換術を施行し,成績について検討した.当院にて平成13年4月から平成19年6月までの期間に手術治療を施した15股14人.転子部骨折4例,頚基部骨折3例,頸部骨折8例であった.転子部骨折4例に対する骨接合術は全例に骨癒合を認めた.頚基部骨折3例と頸部骨折2例に対する骨接合術は2例に偽関節を生じた.頸部骨折6例に対して人工骨頭置換術を施行し,経過観察中にゆるみ等の術後合併症を認めなかったが,2例に脱臼を認めた.全症例において,周術期の大量出血や術後感染といった重篤な合併症は起こらなかった.また,術後3年以内に1/3の5人は死亡していた.血液透析患者の大腿骨頚部骨折に対する骨接合術の適応は慎重に考慮する必要があると考えられた.

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© 2008 西日本整形・災害外科学会
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