整形外科と災害外科
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選択された号の論文の44件中1~44を表示しています
  • 河村 好香, 松尾 圭介, 畑野 崇, 畑野 美穂子, 鳥越 清之
    2024 年 73 巻 2 号 p. 185-187
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】当科でのエコー活用の状況と取り組みについて調査・報告する.【方法】2015年から2022年のエコー活用について以下の調査を行った.(1)使用件数(2)使用目的(3)診療補助内容・診断部位【結果】(1)2015年と比べ2022年は13倍に増加(2)診療補助20-30%,診断目的70-80%(3)診療補助はボツリヌス療法などの施術補助が多く診断部位は股関節と膝関節が多い 【考察/まとめ】ボツリヌス療法での対象筋の同定,発育性股関節形成不全の診断・治療評価と,膝蓋骨不安定性評価にエコーを多く使用していた.エコー機器更新や講習会受講・開催による知識と技術の向上が件数増加の主な要因と考えられた.当院では医師と臨床検査技師が協働でエコー診療に携わることで診療の効率化を図っており小児診療に有用なエコーの技術向上・維持を今後も続け,積極的に活用していきたい.

  • 大迫 美沙, 高岸 憲二, 藤原 将巳, 宮岡 健, 堀田 忠裕, 田所 耕平, 木村 敦, 佐々木 大, 緒方 亜紀, 政次 美代子
    2024 年 73 巻 2 号 p. 188-192
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【背景】非観血的肩関節授動術は拘縮肩に対して有効な治療法であり,当院では全身麻酔下で非観血的肩関節授動術を行っている.【目的】拘縮肩に対する全身麻酔下の非観血的授動術の短期臨床成績を明らかにする.【対象・方法】2020年6月から2022年6月までに全身麻酔下で非観血的肩関節授動術を行った拘縮肩25例25肩,平均年齢55.4歳,男女比12:13.術前および術後3か月のJOAスコア,VAS,可動域,Shoulder 36および合併症を調査した.【結果】術前に比べJOAスコア,VAS,可動域,Shoulder 36は術後有意に改善していた.全身麻酔や手術に伴う重篤な合併症はなかった.【結語】全身麻酔下での非観血的肩関節授動術の臨床成績は良好で重篤な合併症は認めなかった.

  • 富野 航太, 山下 武士, 高島 祐輔, 堀川 朝広, 平井 奉博, 今村 悠哉, 樽美 備一, 緒方 宏臣
    2024 年 73 巻 2 号 p. 193-195
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【目的】高齢者の肩関節脱臼骨折に対して,当院においてリバース型人工肩関節置換術(reverse shoulder arthroplasty:RSA)を施行し,良好な短期治療成績を得たため報告する.【方法】高齢者の肩関節脱臼骨折に対して,2021年1月から2022年8月までに行った高齢者の肩関節脱臼骨折に対するリバース型人工肩関節置換術6例を対象とし,合併症の有無や術後JOAスコアを調査し,評価を行った.【結果】術後半年から1年経過した時点で脱臼や神経麻痺等の合併症は認めず,当院での術後1年でのJOAスコアの平均値は84.5点であった.【結語】高齢者の肩関節脱臼骨折に対してリバース型人工肩関節置換術を施行し,良好な治療成績を得た.

  • 浦田 健児, 大茂 壽久, 樋高 由久, 下河邊 久雄, 濱田 賢治, 大友 一, 清水 建詞, 田原 尚直
    2024 年 73 巻 2 号 p. 196-199
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【目的】橈骨遠位端骨折後にビスホスホネート(BP)による治療が行われた患者の二次骨折発生率を調査し,二次骨折発生危険因子を明らかにすることである.【対象と方法】橈骨遠位端骨折後にBPを投与し3年以上経過観察可能であった閉経後女性92例(73.6±8.9歳,BMI 22.3±3.7 kg/m²,腰椎骨密度0.71±0.15 g/cm²,大腿骨骨密度0.53±0.1 g/cm²)を対象.経過観察期間中の二次骨折発生率,発生時期や部位を調査し,二次骨折あり群となし群で比較した.【結果】二次骨折は23.9%に認め,初回骨折後2年以内に68.2%に発生.発生部位は上肢35.7%,椎体35.7%,下肢14.2%.二次骨折あり群はなし群と比較して,有意に高齢でBMIや大腿骨骨密度が有意に低かった.多変量解析では年齢(OR 1.11,95%CI:1.02-1.21)が二次骨折発生の有意な危険因子であった.【考察】高齢者における二次骨折予防には,短期間に骨折予防効果が期待できる骨粗鬆症治療薬の選択が必要である.

  • 長谷川 晃大, 小澤 慶一, 江﨑 克樹, 山下 道永
    2024 年 73 巻 2 号 p. 200-201
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】当院では大腿骨近位部骨折に対し手術を行ったほぼ全症例に対し,術後にデノスマブを使用している.入院中から骨粗鬆症治療を開始し,外来まで一貫して加療している事が骨粗鬆症治療継続率の上昇に寄与しているか検討した.【対象】2020年4月以降に当院で大腿骨近位部骨折の手術を行い,術後1年以上経過した患者102名.【結果】術後1年以上経過した症例は102名,平均83.8歳,継続率85.3%.術後2年以上経過した症例は34名,平均84.3歳,継続率82.4%.1年以上継続受診できた患者の2年目の継続率は96.5%.【考察】デノスマブの継続率は1年74.8~81.9%・2年60.0~76.5%といった報告がある.また高齢になるほど治療継続率が低く,80歳未満と80歳以上で継続率の差が18.1%との報告がある.当院の平均年齢は83.8歳と高いが,継続率も高いという結果が出た.2年目継続率は96.5%と高く,一貫した治療が出来ていることが高い継続率に繋がっていると思われた.

  • 安水 眞惟子, 高江洲 美香, 宮師 雄太, 親富祖 徹, 宮平 誉丸, 小浜 博太, 宮田 佳英, 仲宗根 哲, 西田 康太郎
    2024 年 73 巻 2 号 p. 202-205
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】当院において骨折リエゾンサービス(FLS)導入後,大腿骨近位部骨折(PFF)術後に二次骨折を生じた症例について検討した.【対象と方法】当院でFLSを導入した2019年4月から2022年3月までのPFF手術症例595例のうち,二次骨折を生じた73例を対象とした.検討項目は受傷時期,骨折部位,Physical status,術前後ADL,骨粗鬆症治療率とした.【結果】術後2年以内の受傷が86%であり,椎体骨折と対側PFFが多かった.重症全身疾患合併症例が64%,術後歩行能力は63%の症例で低下した.骨粗鬆症治療率は術前26%からFLS導入後は85%まで改善したが,二次骨折時の継続率は63%と低下していた.【考察】PFF受傷後は,二次骨折予防や骨粗鬆症治療の重要性を患者や家族に啓蒙・指導すること,二次骨折のリスク因子として内科疾患にも注目し,多職種で連携しサポートしていくことが重要である.

  • 笹栗 慎太郎, 池村 聡, 塩本 喬平, 金江 剛, 中尾 侑貴, 安原 隆寛, 由布 竜矢, 加藤 剛, 泊 真二
    2024 年 73 巻 2 号 p. 206-210
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【背景】我々は両側大腿骨近位部骨折の危険因子に関して片側例と比較検討した結果,初回骨折後の最終歩行レベルが両側骨折の有意な因子であることを第144回本学会で報告した.今回,症例数を増やし骨粗鬆症治療に着目して検討を行った.【対象】傾向スコアマッチングで年齢・性別・BMIといった患者背景を統一し片側群85例,両側群85例で比較検討した.【結果】SERM,ビスフォスフォネート,デノスマブ,テリパラチドのいずれか,もしくはビタミンD製剤との併用で骨粗鬆症治療が行われていた症例は,片側群32例(38%),両側群19例(22%)であり,有意に両側群の骨粗鬆症治療率が少ないという結果であった.(P=0.0296)【結語】本研究結果から「骨粗鬆症治療なし」は両側大腿骨近位部骨折に至る有意な危険因子であることが明らかになった.(オッズ比2.1,95%信頼区間1.1-4.1).また,片側群,両側群ともに骨粗鬆症治療率は低く,治療および継続率の向上が必要である.

  • 植田 博也, 森田 周作
    2024 年 73 巻 2 号 p. 211-214
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    2022年の診療報酬改定で,大腿骨近位部骨折に対する「緊急固定,挿入加算」が新設された.しかしこの算定には,「2次骨折予防継続管理料1」の算定が必要で,この中で骨粗鬆症の治療として薬物治療が積極的に勧められている.急性期DPC対象病院では,高額な薬剤は使用しづらいため経口BP製剤が主に選択されると思われるが,2023年4月から2023年3月まで当院で大腿骨近位部骨折に対して手術を行った120名中,少なくとも入院中は同製剤内服困難と判断された患者は,53%に及んでいた.また困難な理由としては,認知症で指示が通らない,嚥下障害,腎機能障害などであった.急性期DPC病院では,早期退院の必要性,包括支払い制度などの制約のため,求められるような理想的な骨粗鬆症性骨折後の治療介入を行うには困難が多い.今回,急性期病院で現実に起こっている大腿骨近位部骨折後2次性骨折予防としての骨粗鬆症治療の問題点について報告したい.

  • 矢部 恵士, 糸川 高史, 入江 努, 田中 哲也, 中原 寛之, 青野 誠, 齊藤 太一
    2024 年 73 巻 2 号 p. 215-218
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【症例】83歳女性.腰部脊柱管狭窄症に対してL4/5,L5/S1後方除圧術を施行した.術後8日目に起床後より心窩部痛が出現したが,血液検査や心電図は特記所見なく,症状軽減したため経過観察となった.その後腹痛が出現し,意識レベルが低下した.血圧低下,意識障害が遷延し,胸腹部単純CT検査を行った.腸管壊死と腸間膜~門脈ガス血症を認め,明らかな閉塞機転は指摘できず非閉塞性腸間膜虚血(non-occlusive mesenteric ischemia,以下NOMI)の診断となった.その後,心停止し死亡が確認された.【考察】NOMIの初期症状は,血液検査,腹部所見とも非特異的である.死亡率は依然として高く,NOMIに対する認識不足による診断,治療の遅延が影響していると考えられる.今回,腰部脊柱管狭窄症術後にNOMIを発症した1例を経験したので報告する.

  • 藤本 泰毅, 島袋 孝尚, 山川 慶, 金城 英雄, 津覇 雄一, 大城 裕理, 當銘 保則, 西田 康太郎
    2024 年 73 巻 2 号 p. 219-222
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】当科では,保存療法に難渋する化膿性脊椎炎に対して,まず侵襲の少ない後方固定術を行い,感染コントロールが不十分もしくは骨欠損が大きいようであれば前方掻爬固定術を追加する方針としている.2018年から2023年に経皮的椎弓根スクリュー(percutaneous pedicle screw: PPS)を用いて外科的に治療した化膿性脊椎炎8例を経験したので報告する.【方法】症例は全例男性,年齢は平均63.0歳,追跡期間は平均17.6か月,手術前の待機日数は平均67.4日であった.6例に既往症(糖尿病3例,肝硬変,悪性腫瘍各2例,関節リウマチ1例)があった.【結果】手術は全例でPPSを使用した脊椎後方固定術が行われた.CRP正常化までの期間は術後平均25.8日であった.最終経過観察時,感染コントロール目的の追加手術はなかった.【まとめ】本研究では比較的早期に感染所見が改善した.PPSによる後方固定術は化膿性脊椎炎の治療に有効であると考えられる.

  • 松永 千子, 一宮 邦訓, 中谷 潤, 神田 聡, 堀川 修一, 見陣 冬馬, 品川 博光, 山口 彩
    2024 年 73 巻 2 号 p. 223-228
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    症例は,糖尿病,高脂血症,高血圧,逆流性食道炎を合併し内科に定期通院している74歳女性.2日前から続く腰痛による体動困難を主訴に同病院に救急搬送された.受診時,発熱,炎症反応軽度高値を認めた.CTでは明らかな熱源を認めず,入院にて安静加療を行った.入院後腰痛は軽快傾向だったが,発熱が持続し,入院4日目の血液検査で炎症反応の悪化を認め,尿路感染を疑い抗菌薬加療を開始した.入院5日目MRIのT2-WIで腰椎Th10~12前方,横隔膜背側に分葉状の高信号域,STIRでTh9/10軽度高信号を認めた.膿瘍を疑い,同日胸腹部造影CTを撮影し,両側胸水を新規に認めた.血液・胸水培養からメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(Methicillin-susceptible Staphylococcus Aureus:MSSA)が検出され,化膿性脊椎炎に伴う膿胸,傍胸椎前方膿瘍と診断した.化膿性脊椎炎に膿胸,滲出性胸水を伴うことは稀であるが,糖尿病等危険因子のある高齢者の診療を行う場合,感染の進展がないか注意を払いながら加療を行う必要がある.

  • 吉田 遼馬, 中村 壮臣, 徳山 周, 朔 伊作
    2024 年 73 巻 2 号 p. 229-232
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】高齢女性の上腕三頭筋腱付着部肘頭裂離骨折に対してsuture bridge法を行い,経過良好であった1例を経験したため報告する.【症例】80歳女性,お茶の出荷の梱包業務に従事しており,仕事中に転倒し受傷,近医より当院に紹介となった.来院時,肘関節可動域制限と上腕三頭筋の筋力低下があり,画像検査では肘頭の上腕三頭筋腱付着部に裂離骨片があった.suture bridge法による内固定を行い,術後3ヶ月で肘関節可動域制限なく,上腕三頭筋筋力は改善,仕事復帰した.術後12ヶ月現在経過良好である.【考察・結語】上腕三頭筋腱付着部肘頭裂離骨折は比較的稀な外傷である.治療法に関しては一定の見解が得られていないが,本症例は高齢ではあるものの,活動性が高く,確実な早期復帰の希望もあったため手術療法を行った.強固な固定により早期にリハビリテーションを開始することで仕事に復帰することができた.

  • 大久保 友貴, 小杉 健二, 弓指 恵一, 近藤 秀臣, 石倉 透, 福原 志東, 赤星 正二郎, 有田 忍, 馬場 賢治
    2024 年 73 巻 2 号 p. 233-236
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】上腕筋裂離骨折は小児でみられる稀な骨折であり,単純X線だけでは骨折を見逃すことがある.【症例】7歳男児.雲梯から転落し,右肘関節痛のため当科を受診した.単純X線,CTにて橈骨頭骨折及び尺骨近位前方に小骨片を認めた.筋・靭帯の3D-CTやMRIから上腕筋裂離骨折と診断した.保存加療を行い,受傷4週から関節可動域訓練を開始した.最終調査時,CTで一部骨癒合が得られており,疼痛及び可動域制限がないことから臨床経過は良好である.【考察】小児上腕筋裂離骨折は渉猟し得た限り海外から2例と稀な外傷で本邦での報告例はない.上腕筋は肘関節の屈筋群の一つであり,複数の筋頭を有する.本症例は画像検査から,上腕筋深頭の骨膜裂離骨折と判断し,肘関節の外反・過伸展が受傷機転と考えられた.過去の報告2例は保存加療で成績は良好であり,その診断が重要とされる.本診断にはCT,MRIが有用である.

  • 木戸 麻理子, 土持 兼信, 兼田 慎太郎, 衛藤 凱, 江口 大介, 大森 裕己, 畑中 敬之, 河野 裕介, 岩崎 賢優, 土屋 邦喜
    2024 年 73 巻 2 号 p. 237-240
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    対象は2011年1月~2022年12月までに当院で手術を施行した上腕骨外側顆骨折37例37肘のうち,12カ月以上経過観察可能であった30例30肘(男児20例,女児10例),年齢は平均5.97歳(1~11歳),骨折型はWadsworth分類Ⅱ型17肘,Ⅲ型が13肘で術式は経皮的鋼線刺入固定術が4肘,Tension band wiring(TBW)が26肘,平均経過観察期間は31カ月(12~99カ月)であった.年齢・性別・Wadsworth分類・術式・Flynnの評価基準・術後X線の関節面Gapの有無・Carrying angle(CA)・fishtail deformity(FTD)について検討した.FTDは16/30肘に認めた.術後X線でGap残存例は9肘あり,鋼線刺入固定術では4/4肘,TBWでは5/26肘であった.FTDの発生頻度を下げるためにgapを残さない手術が有用である.

  • 朝永 育, 古市 格, 宮崎 洋一, 尾﨑 誠
    2024 年 73 巻 2 号 p. 241-245
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    小児内反肘変形に対してModified step-cut osteotomy(本法)を行い骨端線閉鎖まで経過観察した症例を報告する.症例は9歳男児.2歳時転倒し右上腕骨顆上骨折受傷し,保存加療後内反肘となった.肘関節可動域屈曲100°伸展-10°,X線でcarrying angle(以下CA)内反26°,tilting angle(以下TA)-10°.本法を用い32°の外反矯正を行い,術後X線はCA外反7°,TA 0°に矯正された.14歳(術後6年経過時)でCA,TAは矯正損失なく,関節可動域屈曲135°伸展0°,骨端線は閉鎖し良好な肘関節形態となった.小児の上腕骨顆上骨折後の内反肘変形に対し,本法はlateral prominenceが生じにくい利点があり良好な成績が散見されるが,長期経過の報告はない.今回の症例は本法の欠点とされる伸展位固定であったが可動域制限や矯正損失なく,良好な結果であった.

  • 上田 幸輝, 伊東 孝浩, 伊藤 輝, 山本 雅俊, 亀山 みどり, 千住 隆博, 内村 大輝, 水城 安尋
    2024 年 73 巻 2 号 p. 246-248
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    当科では人工膝関節全置換術(TKA)施行時に手術用ヘルメットを使用しない.当科での術後感染率を諸報告と比較した.【対象と方法】2012年1月~2022年3月に当科でTKAを施行し,術後90日以上経過観察できた480例.術後90日以内の発症を急性期感染,以降の発症を慢性期感染とした.術者らは滅菌された頭巾と未滅菌のゴーグルを着用し,クリーンルームで手術を施行した.【結果】平均手術時間は110±19分,平均経過観察期間は43±31ヶ月だった.急性期感染を1例(0.2%),慢性期感染を5例(1.0%)に認め,ヘルメットを用いた諸報告の感染率と同等だった.【考察】手術用ヘルメットの感染予防効果については結論が出ていない.当科では感染予防対策として手術室の入室制限等の工夫を行った.経過観察期間の短い症例を含むため慢性期の感染率が下がっている可能性がある.【結論】手術用ヘルメットを用いないTKAでの術後急性期感染率は,諸報告と同等だった.

  • 柏木 悠吾, 小島 岳史, 柏木 輝行, 福嶋 研人, 黒木 啓吾, 吉田 尚紀, 帖佐 悦男
    2024 年 73 巻 2 号 p. 249-252
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    変形性膝関節症(OA膝)に合併する膝周囲骨折に対する1期的TKAは,骨切りやロングステム挿入が難しいためまずは骨接合術を選択することが多い.今回我々はOA膝を伴う膝周囲骨折2例に対し,1期的にロボット支援TKAを施行したので報告する.対象はOA膝を伴う大腿骨内顆骨折(AO-B2),脛骨高原骨折(AO-B3)である.受傷後3週間の待機期間ののちに1期的ロボット支援TKAを行い,術後単純X線像・ROM・JOAスコアを検討した.2例とも骨癒合得られ,術後59日,33日目に1本杖にて自宅退院,術後HKA 181.3°,179.7°,最終ROMは-10°/100°,-10°/130°,JOAスコアは80点,95点であった.ロボット支援を受けることで,元来技術的に困難であった1期的TKAがより正確に実施することができた.

  • 上田 幸輝, 伊東 孝浩, 伊藤 輝, 山本 雅俊, 亀山 みどり, 千住 隆博, 内村 大輝, 水城 安尋
    2024 年 73 巻 2 号 p. 253-255
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    近年,下肢coronal alignmentを脚の内外反(aHKA)と膝関節面の傾斜(JLO)に基づいて分類するCPAK(Coronal Plane Alignment of the Knee)分類が提唱された.人工膝関節全置換術(TKA)術後1年時のCPAK分類と,疼痛やADL,膝関節可動域との関連を調査した.【対象と方法】対象は2019年3月~2022年2月に当院で初回TKAを施行し,1年以上経過観察できた86膝.術前と術後1年の全下肢X線写真からmLDFA,MPTAを計測してaHKA(=MPTA-mLDFA),JLO(=MPTA+mLDFA)を算出し,術前後のCPAK分類をphenotypeⅠ~Ⅸに分類した.術後1年のVAS,JKOM(項目Ⅱ,Ⅲ)を用いて,各phenotype間の疼痛やADL,術後1年の関節可動域を比較した.【結果】術後CPAK分類は,Ⅰ:11膝,Ⅱ:7膝,Ⅲ:1膝,Ⅳ:29膝,Ⅴ:25膝,Ⅵ:5膝,Ⅶ:3膝,Ⅷ:5膝,Ⅸ:0膝だった.各phenotype間でVAS,JKOMを比較したが有意差は認めず,術後1年の膝伸展角度のみⅤよりⅠが不良であった.【考察】mechanical alignmentの手技ではCPAK Ⅴを目指すが,術後Ⅰとなった場合膝伸展が不良となる可能性があるので,脛骨componentを過度に内反設置にしない方が良いかもしれない.

  • 松田 倫明, 川畑 英之, 恒吉 康弘, 土屋 太志郎, 中村 優子, 富村 奈津子, 古賀 公明, 吉野 伸司, 川内 義久
    2024 年 73 巻 2 号 p. 256-259
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【症例】25歳男性.半年前より左膝関節痛で近医整形外科に通院していたが,症状改善みられず当科紹介となった.初診時,体温37.8度,左膝の熱感,腫脹があったが血液培養,関節液培養は陰性だった.血液検査ではWBC 10000/μL,CRP 18.4 mg/dLと高値だったがRF,抗CCP抗体,抗核抗体は陰性だった.MRIでは左膝の関節水腫,滑膜増生がみられた.診断,治療目的に行った関節鏡検査ではびまん性の滑膜増生を認めたが,軟骨や靭帯,半月板に異常はなかった.病理所見は非特異的な滑膜炎だった.周術期に両膝関節痛,両足関節痛が出現したため,改めて既往歴を確認すると,関節痛発症前に泌尿器科を受診し,クラミジア陽性だったことが判明し,クラミジア感染による反応性関節炎と診断した.リウマチ科へ紹介し,サラゾスルファピリジン開始後,症状改善傾向である.【考察】下肢優位の多関節炎ではリウマチや化膿性関節炎のみならず,反応性関節炎を鑑別に挙げる必要がある.

  • 山本 俊策, 二之宮 謙一, 合志 光平, 牟田口 滋, 坂本 悠磨, 末次 弘征, 真島 久
    2024 年 73 巻 2 号 p. 260-261
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    痛風膝関節炎に対して鏡視下手術を実施し,良好な成績が得られたので報告を行う.【症例】45歳男性,25歳から高尿酸血症の治療歴があり右膝関節腫脹,疼痛,可動域制限を認め当院紹介受診となった.初診時屈曲80度,伸展-20度と可動域制限を認めた.関節液検鏡で尿酸塩結晶を認め,MRIで滑膜炎と結節性病変を関節内に認め痛風膝関節炎を考慮した.鏡視下膝滑膜切除術を行い症状軽減し,屈曲110度伸展0度まで改善した.痛風膝関節炎に対して鏡視下治療は有用であった.

  • 上田 章貴, 諸岡 孝明, 木村 岳弘, 石川 貴晴, 櫻木 高秀
    2024 年 73 巻 2 号 p. 262-265
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【症例】12歳男性.2 mのフェンスから落下し,地面で右膝を強打し受傷した.初診時,右膝関節に腫脹・膝蓋跳動・可動域制限を認め,膝関節屈曲で右膝痛は増悪,後方引き出しテスト陽性であった.CTで右膝関節内後方に薄い裂離骨片,MRIで後十字靭帯(PCL)の弛緩を認めた.脛骨PCL付着部裂離骨折と診断し,骨片の転位を認め,手術加療とした.手術は腹臥位でBurks法を用いた.PCLの付着した骨片と付着部の母床を肉眼的に確認した.透視下に骨端線を損傷しないように母床にアンカー1本を設置し,縫合糸を裂離骨片とPCL実質にかけ縫合し,骨片を固定した.術後は装具下に屈曲90°までのROM訓練,荷重を許可した.術後8週より装具下に可動域制限なくROM訓練を開始し,術後12週で装具を除去し,独歩可能な状態である.【考察】小児のPCL裂離骨折は見逃されやすく注意を要する.本症例ではアンカーによるPCL裂離骨折の治療で良好な結果を得た.

  • 徳永 修, 福岡 真二
    2024 年 73 巻 2 号 p. 266-273
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    大腿四頭筋拘縮症は1973年に山梨県での多発が報じられた.その後,全国で調査が行われ,乳児期の筋肉注射の続発症であることが分った.1970-80年代に予防啓蒙が行われ新規発生は激減した.症例:51歳,女性.2歳頃,歩容異常を認め,近医で左大腿四頭筋拘縮症の診断.中学生から腰痛と左殿部痛があり,28歳で第4/5腰椎椎間固定術を受けた.45歳頃,腰痛増強,左股関節痛出現,近医で左変形性股関節症の診断.48歳頃から腰痛と両股関節痛が続き,歩行障害が増強(歩行可能距離100 m).51歳で当園を紹介された.歩容は股関節屈曲・骨盤前傾・腰椎前弯増強.膝関節屈曲は,股関節最大屈曲時は両側155°,股関節伸展時は右105°/左25°であった.直筋型と診断し,重度である左側の大腿直筋切離+腸脛靭帯切離を施行.術後は股関節伸展時の膝屈曲が135°に改善.腰痛,股関節痛は軽減し,1 km歩行可能になった.

  • 藤原 悠子, 柳田 隆宏, 土持 兼之
    2024 年 73 巻 2 号 p. 274-276
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    下肢深部静脈血栓症(DVT)は致死性の肺塞栓を起こすため予防が大変重要となる.下肢ギプス固定はDVT発症の高い危険因子であり5),今回中足骨骨折に対するシーネ固定後3週間で巨大なDVTを生じた症例を経験した.症例は47歳女性,職業は看護師,階段で転倒後に当科受診し,左第5中足骨基部骨折を認めた.転位が小さくL字シーネ固定を行い,受傷後11日目より免荷で勤務を再開した.勤務開始後1週間で下肢の腫脹が増悪し,当科再診した.左下腿の熱感や発赤はなく,下腿から大腿部まで腫脹を認めた.血液検査で白血球10370/μl,D-dimer 5.4μg/ml,CRP 0.45 mg/dlと,軽度の炎症を認めDVTを疑い下肢静脈超音波検査を行った.外内腸骨静脈分岐部から膝窩部にかけて充満性血栓を認め,造影CT検査では左下腿から総腸骨静脈にかけて巨大な血栓を認めた.抗凝固療法を開始し,血栓は徐々に縮小している.下肢固定を行う際はDVT発生を念頭に置く必要がある.

  • 八木 宏樹, 藤井 勇輝, 菊池 直士, 増田 圭吾, 中村 良, 松本 祐季, 黒石 聖, 江﨑 克広, 阿久根 広宣
    2024 年 73 巻 2 号 p. 277-279
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】脛骨粗面の裂離を伴う骨折・骨端線損傷は比較的稀な損傷とされている.今回,同側で三度の脛骨近位端骨折を受傷した症例を経験したので報告する.【症例】初回受傷時15歳の男性,サッカーのプレー中に左膝を蹴られ受傷,左脛骨近位骨端線損傷の診断で経皮的鋼線刺入術を施行,2カ月後に抜釘した.術後4カ月時サッカーのキック動作で同部位の再骨折をきたし,保存加療で骨癒合を得た.16歳時に同様の動作で脛骨粗面裂離骨折に至り,CCSを用いて骨接合術を施行した.最終手術から5カ月でスポーツ復帰し,再骨折なく経過している.【考察】上記骨折に関して経皮的鋼線刺入術およびスクリュー固定で良好に骨癒合を得ることができた.しかしながら,骨癒合が見られたにもかかわらず複数回の受傷に至ったことから,スポーツ復帰時期には十分な検討が必要である.

  • 照屋 周, 平良 啓之, 呉屋 五十八, 大城 義竹, 砂川 秀之, 新垣 宜貞, 西田 康太郎
    2024 年 73 巻 2 号 p. 280-284
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    脛骨粗面骨折は比較的稀な骨折であるが,骨端線が完全に閉鎖していない思春期に好発すると言われている.今回著者らは,成人に生じた脛骨粗面骨折を経験したので報告する.症例は54歳男性.約2 mの脚立から転落し,左膝関節は屈曲位で粗面部を強打し,当院救急受診となった.左膝関節X線像,CT像にて左膝蓋骨が近位へ偏位しており,脛骨粗面の粉砕骨折,骨折部に骨片の陥入を認め,受傷5日目に径4.0 mmの中空螺子とスーチャーアンカーであるHEALICOIL®を用いて骨折観血的手術を行った.術後,左膝関節は伸展位で外固定を行い,術翌日から荷重を許可した.左膝関節の可動域訓練は術後4週から開始した.術後2ヵ月で独歩可能となり,術後5ヵ月で原職復帰となった.骨折部が粉砕している成人の脛骨粗面骨折に対して,中空螺子とスーチャーアンカーを使用し手術を行い,骨癒合と良好な可動域が得られた.

  • 弦本 直治, 富田 雅人, 野村 賢太郎, 尾﨑 誠
    2024 年 73 巻 2 号 p. 285-288
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    [はじめに]異型脂肪腫様腫瘍(ALT)は長径10 cm以上,深部発生が多いとされているが,脂肪腫(LPM)とALTの画像での厳密な鑑別は困難である.当院で加療したLPMとALT症例の画像所見について検討したので報告する.[対象]2018年1月から2023年1月の間に加療したLPM 109例117病変(男性55例女性54例),ALT 35例36病変(男性19例女性16例)を対象とした.平均年齢はLPM 61.9(22-89)歳,ALT 67.8(42-86)歳であった.[結果]長径の平均値はLPM 8.1 cm,ALT 13.6 cm,長径10 cm以上の割合はLPM 27%,ALT 69%であった.皮下発生の割合はLPM 58%,ALT 19%であった.長径10 cm未満かつ皮下発生はLPM 44%,ALT 14%であり逆に長径10 cm以上かつ深層発生はLPM 10%,ALT 36%であった.発生部位はLPM肩18%,背部16%,大腿15%等でALTは大腿61%,臀部8%と臀部~大腿が約7割を占めた.

  • 富田 雅人, 野村 賢太郎, 前田 純一郎, 西野 雄一朗, 徳永 敬介, 糸瀬 賢, 尾﨑 誠
    2024 年 73 巻 2 号 p. 289-291
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    [はじめに]2013年の第126回本学会において2008-20012年に当科で診療を行った重複悪性腫瘍症例について報告した.今回10年後の重複悪性腫瘍症例について検討したので報告する.[症例と方法]2018年1月-2022年12月に病理学的に悪性と診断された231症例(平均年齢65.1歳)中重複悪性腫瘍は36例15.6%であった.2008-2012年の症例を1群,2018-2022年の症例を2群とし比較検討した.[結果]重複悪性腫瘍の症例数,割合は両群間でほぼ同等であった.平均年齢は1群66歳,2群71.7歳であった.腫瘍の種類では,2群で悪性リンパ腫が増加していた.癌腫別では婦人科癌が減少し,甲状腺癌,前立腺癌が増加していた.肉腫では変化はみられなかった.[考察]当科における重複悪性腫瘍患者数は10年間で変化は見られなかったが,平均年齢が上昇し,悪性リンパ腫患者が増加していた.

  • 久保田 悠太, 河野 正典, 岩﨑 達也, 糸永 一朗, 加来 信広, 津村 弘, 田仲 和宏
    2024 年 73 巻 2 号 p. 292-294
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【背景】再発・進行骨軟部肉腫に対する二次治療以降の標準レジメンは確立されていない.今回当科におけるGD療法使用例について検討したので報告する.【対象・方法】当科で2012年1月~2023年5月に再発・進行骨軟部肉腫に対してGD療法を行った32例を対象とした.平均年齢52.4歳,主な組織型は骨肉腫7例,平滑筋肉腫5例,未分化多形肉腫5例等であった.後方視的に治療ライン,無増悪生存期間(PFS),奏効率,12週時点無増悪生存率(12W PFSR),有害事象等について調査した.【結果】全体のPFS中央値4.1ヶ月,12W PFSR 66%であった.軟部肉腫のPFS中央値は一次治療3.9ヶ月,二次治療6.7ヶ月,三次治療以降1.3ヶ月であった.主なGrade 3/4有害事象は,好中球減少59%,白血球減少46%,発熱性好中球減少症20%等であった.【考察】GD療法は標準治療が行えない場合の代替や二次治療以降のレジメンとして有用と考えられた.

  • 甲斐 一広, 樽角 清志, 東野 修, 土井 俊郎, 飯田 圭一郎, 播广谷 勝三
    2024 年 73 巻 2 号 p. 295-298
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】本研究の目的はJOABPEQやJOACMEQが他の質問表と比べて正確に記入されているか,medical staffの協力により記入率は改善するのか評価すること.【対象と方法】2015年4月から2017年3月に脊椎手術を受けた342名を対象とした.2016年4月より質問表が正確に記入されているのかチェックを開始した.チェックなし期間のJOABPEQ,JOACMEQの正確記入率とチェックあり期間のJOABPEQ,JOACMEQ,ODI,NDI,EQ-5Dの正確記入率を比較した.正確に記入された質問票とは全ての設問が埋められているものと定義した.正確記入率は正しく記入された質問票の数を全質問票の数で除したものとした.また,medical staffの協力で正確記入率が改善するのか調査した.【結果】JOABPEQとJOACMEQの正確記入率はチェックの有無に関わらずODI,NDI,EQ-5Dと比べて低かった.Medical staffの協力で正確記入率は改善した.【結語】JOABPEQとJOACMEQがさらに広く使用してもらうために,今後問題点を少しずつ改善していく必要があると考えられた.

  • 吉本 将和, 岡本 重敏, 清水 大樹, 田中 宏毅, 倉員 市郎, 松原 弘和, 福元 真一, 吉田 裕俊, 中家 一寿
    2024 年 73 巻 2 号 p. 299-301
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】妊婦や授乳婦への診療にあたっては,使用できる薬剤に制限を受けることがある.今回,比較的稀な妊婦の手指化膿性関節炎を経験したので報告する.【症例】27歳女性妊娠8ヶ月授乳中.特に誘因なく左中指PIP関節痛・腫脹が出現し,第9病日に近医の整形外科を受診しステロイド局注施行される.その後も症状が増悪し第11病日に当院紹介となった.関節穿刺にて黄白色混濁した膿汁6 mLが引け,後の培養でA群溶連菌が検出された.関節切開洗浄を行い,点滴による抗生剤治療を開始した.術後8日で内服の抗生剤に切り替え,5週間投与を行った.抗生剤中止後も再燃なく治癒した.【考察】手指化膿性関節炎は比較的稀であり鑑別を要する.妊婦や授乳婦に使用可能な薬剤は限られ,注意が必要である.

  • 木戸 麻理子, 幸 博和, 小早川 和, 樽角 清志, 横田 和也, 川口 謙一, 中島 康晴
    2024 年 73 巻 2 号 p. 302-306
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】アルカプトン尿症は稀な先天性代謝異常症であり,色素沈着をきたした関節軟骨の変性により大関節に関節症性変化,脊椎に強直性変化が見られる.脊椎強直は特に胸腰椎に多く認め,頸椎ではまれであるが,今回我々は下位頸椎の強直により環軸椎の不安定性をきたし,脊髄症を発症したアルカプトン尿症の1例を経験したので報告する.【症例】65歳男性.歩行障害,四肢のしびれ,巧緻運動障害が出現し当科紹介.初診時の単純X線にて下位頸椎の強直及び環軸椎亜脱臼を認め,MRIではC1レベルでの脊髄の萎縮を認め,同レベルでの脊髄症と診断した.棘突起間スペーサーを用いた環軸椎関節の整復とMagerl+Brooks法による後方固定を施行し,脊髄症による症状は改善した.【結語】アルカプトン尿症において頸椎の強直性変化を認める症例は,環軸椎の不安定性をきたしやすく,脊髄症をきたす可能性を念頭に置くことが重要と思われた.

  • 白﨑 圭伍, 小薗 直哉, 竹内 直英, 鍋島 央, 中島 康晴
    2024 年 73 巻 2 号 p. 307-308
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    手根管症候群患者に対して術前に頸椎MRIを施行し,頸髄圧迫病変と手根管開放術後の症状改善の有無について調査した.対象は2011年8月から2021年9月に手根管開放術を行った50例65手で頸髄圧迫病変の有無とその男女比,年齢での比較,術後6ヵ月での症状改善の有無,手根管開放術後の頚椎手術歴について評価した.手根管開放術を行った50例中26例で頸髄圧迫病変を認めたがほぼ全例で症状改善を認めた.手術適応のある手根管症候群患者では頸髄圧迫病変が多い傾向があった.また,年齢での比較においては,65歳以上が65歳未満より頚髄圧迫病変の割合が有意に多かった.診断の際には神経症状や電気生理学的検査,必要であれば頚椎MRI検査を行い総合的に判断することが重要と考える.

  • 眞島 新, 前田 健, 久保田 健介, 畑 和宏, 坂井 宏旭, 益田 宗彰, 森下 雄一郎, 林 哲生, 横田 和也, 大迫 浩平, 伊藤 ...
    2024 年 73 巻 2 号 p. 309-313
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】硬膜内に脱出した腰椎椎間板ヘルニアは稀な疾患である.発生リスクとしては長期羅患期間や,同部位の手術既往等が挙げられる.今回,MRIで硬膜内に脱出した腰椎椎間板ヘルニアを疑い手術加療を行った一例を経験したので報告する.【症例】41歳男性,177 cm,130 kg.19歳時にヘルニアを指摘.39歳時に腰痛・下肢痛が増悪,脊柱管狭窄も認めたため椎弓切除の上L4/5左・L5/S1両側ヘルニア摘出術を施行.術後症状軽快したが,2年後に症状再燃し脱力も出現.MRIでL4/5に巨大ヘルニアの再発があり,hawk-beak signを認め硬膜内への脱出を疑った.硬膜上の瘢痕を切除し,硬膜を切開してヘルニアを摘出.硬膜腹側にはヘルニア脱出孔が観察できた.術後症状は軽快した.【結語】通常のスクリーニング画像で硬膜内脱出ヘルニアを明確に診断することは困難であるが,特徴的な画像所見や病歴で鑑別診断に組み込むことが重要である.

  • 久保田 悠太, 河野 正典, 岩﨑 達也, 糸永 一朗, 加来 信広, 津村 弘, 田仲 和宏
    2024 年 73 巻 2 号 p. 314-316
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【背景】進行軟部肉腫に対する二次治療以降の標準レジメンは確立されていない.今回,当科におけるトラベクテジン使用例について検討したので報告する.【対象・方法】当科で2016年3月~2023年5月に進行軟部肉腫に対してトラベクテジン投与を行った9例を対象とした.平均年齢62.6歳,主な組織型は平滑筋肉腫4例,脱分化型脂肪肉腫2例等であった.後方視的に治療ライン,12週時点無増悪生存率,無増悪生存期間,全生存期間,有害事象等について調査した.【結果】二次治療が4例,四次治療以降が5例,12週時点無増悪生存率44.4%,無増悪生存期間中央値は1.8ヶ月,全生存期間中央値は10.1ヶ月であった.Grade 3以上の主な有害事象は,白血球減少31%,好中球減少29%等であった.【考察】四次治療でも有効な症例があった.有害事象による中止例はみられず,高齢者でも比較的安全に使用できる薬剤と考えられた.

  • 髙村 優希, 松下 優, 清水 黎玖, 大森 治希, 土居 雄太, 眞島 新, 平林 健一, 馬場 覚, 小宮 紀宏, 塚本 伸章, 林田 ...
    2024 年 73 巻 2 号 p. 317-319
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】ピロン骨折は治療に難渋する骨折であり,手術方法や合併症について多数報告されているが,術後にプレート折損を生じた報告は渉猟し得た限り稀である.今回,術後にプレート折損を来し,再手術を要した症例を経験したので報告する.【症例】64歳男性,2.5 mの高さから墜落し受傷.右開放性ピロン骨折(AO 43C3.3/Gustilo 3A)の診断となり同日創外固定術を施行.第11病日に観血的整復固定術を施行し,術後6週より部分荷重を開始した.しかし術後11週に疼痛と腫脹が出現し,Xpでプレートの折損と再骨折を認めたため,折損したプレートの抜釘及び観血的整復固定術を再度施行した.現在全荷重で術後経過は概ね良好である.【考察】本症例におけるプレート折損の原因としては固定方法,インプラントの選択や荷重時期が尚早であったことが挙げられる.骨癒合遷延時には慎重に荷重時期を検討する必要がある.

  • 明島 直也, 荒木 貴士, 糸瀬 賢, 田口 勝規
    2024 年 73 巻 2 号 p. 320-324
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    コンパートメント症候群は筋区画内圧の上昇により神経と筋に阻血性壊死が生じる疾患で,診断と治療の遅れが重篤な機能障害を残すため,早期の確実な診断が重要となる.今回,過去10年間に当科で筋膜切開を施行した症例の診断・治療経過につき考察を加えたので報告する.症例は男性8例,女性6例であり,平均年齢は50歳(14-84)であった.部位は下腿が10例,前腕が4例であり,原因は打撲や動脈損傷,クラッシュ症候群などの外傷によるものが7例,膝関節授動術後が1例,抗凝固薬による組織内出血が1例,急性動脈閉塞症に対する血栓除去術後が5例であった.6P兆候と筋区画内圧により総合的に診断し,可及的速やかに筋膜切開術を施行した.発症時期が不明で,症状が亜急性に進行した症例が3例あり,診断に苦慮した.また血栓除去術後にコンパーメント症候群を発症した例が多く,動脈閉塞の虚血症状と類似しているため,筋膜切開の適応には他科と連携した慎重な判断が必要であった.区画内圧の平均値は70 mmHgであったが,ばらつきも多く,症状との総合的診断が重要と思われた.

  • 市川 賢, 金澤 和貴, 酒井 政彦, 秋穂 俊輔, 泉 秀樹
    2024 年 73 巻 2 号 p. 325-328
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    距骨下脱臼に距骨骨折,踵骨骨折等を合併することは比較的稀であるが散見される.今回,距踵関節癒合症を伴う内側型距骨下脱臼に,距骨後内側結節骨折と踵骨前方突起骨折を認めた稀な一例を経験したので報告する.症例は,60歳男性.作業中に転倒受傷し近医へ救急搬送となった.右距骨下脱臼の診断となり,手術加療目的に当院紹介受診となった.脱臼整復後の画像検査にて踵骨前方突起骨折,及び距骨後内側結節骨折を認めた.また,距踵関節癒合症の合併を認めた.距骨後内側結節骨折骨片は転位が大きく骨片サイズも大きかったため,ヘッドレススクリュー(ACUTRAC Screw)で骨接合術を行った.後療法としては,術後3週間のシーネ固定を行い,その後,足関節ROM訓練を開始,PTB装具にて部分荷重歩行とし,術後3ヶ月で全荷重歩行とした.術後2年の単純X線では距骨の陥没等は認めず,日常生活動作に支障を認めず復職していた.足関節可動域は背屈20度,底屈30度,JSSF scaleは85点と良好であった.

  • 高平 祥太郎, 梶山 史郎, 青木 龍克, 佐田 潔, 松林 昌平, 辻本 律, 尾﨑 誠
    2024 年 73 巻 2 号 p. 329-332
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    腱板修復術後に上腕骨頭軟骨下骨の脆弱性骨折やそれに伴う関節症をきたした3例(全例女性)を報告する.【症例1】72歳.右肩腱板修復術施行後9か月のXpで骨頭圧壊を認めた.以降骨頭圧壊の進行なく,可動性も良好であったため保存的に加療した.【症例2】68歳.右肩腱板修復術の術中に外側のアンカーが脱転し,遠位に再挿入を行った.術後より肩関節痛が持続し,術後6か月より骨粗鬆症治療を開始したが,術後1年のMRIで骨頭軟骨下骨の脆弱性骨折を認めた.骨粗鬆症治療介入を強化し,以降疼痛は改善傾向である.【症例3】74歳.左肩甲下筋腱部分移行術(Cofield変法)を施行後6か月のMRIで骨頭の圧壊と関節症性所見を認めた.骨粗鬆症治療を行い,1年6か月でリバース型人工関節置換術を施行した.【考察】高齢女性の腱板断裂修復術後に軟骨下骨の脆弱性骨折を合併することがあり,骨粗鬆症治療介入や画像フォローが重要である.

  • 井上 逸人, 中村 公隆, 井口 明彦, 濱田 貴広, 泉 貞有, 今村 隆太, 蛯原 宗大, 井上 隆広, 黒木 陽介, 有薗 剛
    2024 年 73 巻 2 号 p. 333-336
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】肘関節に原発した結核性関節炎の1例を経験したので報告する.【症例】23歳男性.誘因なく右肘痛が出現,近医整形外科で保存加療を施行されるも改善なく,発症約1か月で当科紹介受診された.発熱があり,右肘関節の腫脹・疼痛・熱感を認め可動域制限があった.X線で特記所見なく,MRIで肘関節の前方・後方に及ぶ腫瘤状病変(T1低信号,T2中等度~高信号)を認めた.CTで胸部病変は認めなかった.血液検査では炎症反応上昇を認め,結核菌特異的IFN-γは陰性であった.外来で穿刺するも引けず,後日に病巣掻爬術を施行したところPCR検査で結核菌陽性であった.結核性肘関節炎の診断で抗結核薬を約9か月間内服され治癒に至った.最終経過観察時,右肘関節痛や可動域制限は認めなかった.【考察】結核性関節炎は稀な疾患で予後不良であり,早期加療開始のために鑑別疾患として念頭に置き,血液検査や抗酸菌検査に加えて結核菌PCR検査を行う必要がある.

  • 今田 優, 清水 建詞, 大友 一, 森光 洋介, 濱田 賢治, 田原 尚直
    2024 年 73 巻 2 号 p. 337-341
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    神経鞘腫は単純MRIにて比較的容易に認識でき,さらにガドリニウム(Gd)造影効果により他の腫瘍とも鑑別できることが多い.今回明らかなGd造影効果を認めないため脊柱管内嚢腫病変との鑑別が十分にできず,手術によって神経鞘腫と診断できた1例を経験したので報告する.症例は73歳男性,半年前に左殿部痛を自覚し当院を受診した.MRIにてL4/5レベルの脊柱管内にT1強調像およびT2強調像で均一な高信号を呈する長径13 mmの卵円形病変を認めた.腫瘤の実質部分は認めずGd造影効果も認めないため嚢腫病変を疑った.一旦症状は消失したが,3ヶ月後に両大腿後面痛が出現,再度のMRIで腫瘤は不均一な高信号に変化していた.脊髄腫瘍内出血を疑い,L4椎弓切除+腫瘤摘出術を施行した.術後,両下肢痛は速やかに改善した.術後の病理組織検査にて嚢胞変性し出血を伴った脊髄神経鞘腫と診断された.

  • 眞島 新, 馬場 覚, 林田 光正, 吉川 正章, 高島 洋, 前 隆男
    2024 年 73 巻 2 号 p. 342-346
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】帯状疱疹(herpes zoster)は日常的に遭遇する疾患であり,神経分節に沿った皮疹・水泡や疼痛が特徴的な症状だが,稀な合併症として運動神経麻痺を呈することがある.今回,頚椎疾患と鑑別を要した帯状疱疹後髄節性運動麻痺(Segmental Zoster Paresis; SZP)の一例を経験したので報告する.【症例】65歳男性.右頚部~上肢の疼痛・しびれで前医を受診,頚椎後縦靭帯骨化症の診断で当科紹介.右C5~6髄節に沿った疼痛・筋力低下があり,頚椎MRIで症状に矛盾しない狭窄所見を認めた.頚椎由来の麻痺と診断し手術加療も検討したが,当院受診数日後に右C5~6領域に帯状疱疹が出現.精査の結果SZPの診断で抗ウイルス薬投与・ステロイドパルス療法を行い,症状軽快した.【結語】整形外科診療ではあまり見かけない疾患ではあるが,運動麻痺の鑑別診断としてSZPを念頭に置く必要がある.

  • 立園 祥平, 阿部 徹太郎, 迫 教晃, 宮崎 正志, 津村 弘
    2024 年 73 巻 2 号 p. 347-350
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    47歳男性 既往歴:神経線維腫症1型,てんかん.中学生時に側弯症を指摘され近医で保存的に加療されていた.47歳時に腰痛悪化し当院紹介となり,前方解離(T7/8-T9/10),後方矯正固定術(T3-L3)を施行した.術後10日目に吐血し,上部消化管内視鏡検査で胃潰瘍からの出血を確認し,クリッピングを行い止血した.術後20日目,再度吐血しクリッピングのみでの止血は困難と判断し経カテーテル動脈塞栓を行った.その際の造影CTで偶発的に腹腔動脈の圧迫を発見した.塞栓術の際に順行性に腹腔動脈の血流は確認され胃潰瘍との関連は不明であった.その後は再出血なく術後37日目に退院となった.成人脊柱変形矯正術後の急性腹腔動脈圧迫症候群は稀とされるが,本例のように無症候であっても腹腔動脈の狭窄を来している症例もあり,矯正量の大きい症例では特に術前の評価,手術計画に注意が必要である.

  • ~二次骨折はどこに起こるか~
    松尾 大地, 江頭 秀一, 宮坂 悟, 杉原 祐介, 日髙 信道
    2024 年 73 巻 2 号 p. 351-354
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【はじめに】当院で初回脆弱性骨折治療後に二次骨折を起こした症例について調査した.【対象と方法】2016年4月から2021年3月の間に当院にて骨折で入院加療を行った1918例の内,初回脆弱性骨折(a)上腕骨近位部骨折,b)橈骨遠位端骨折,c)大腿骨近位部骨折,d)胸腰椎骨折)を起こし,退院後二次骨折を起こした137例(平均85.3歳,男性21例,女性116例)を対象とした.初回骨折部位毎の二次骨折部位について調査した.【結果】初回骨折の件数は,a)7例,b)9例,c)79例,d)42例であり,初回骨折から二次骨折までの期間は平均15.6ヶ月であった.二次骨折部位は大腿骨近位部が67例と最多であった.初回骨折部位別に見ても,椎体骨折を除き二次骨折部位は大腿骨近位部が最も多かった.【考察】初回骨折部位に関わらず大腿骨近位部に二次骨折を起こすことが多かった.転倒を予防する環境整備や筋力訓練および骨粗鬆症治療による二次骨折予防は重要である.

  • 寺本 圭賢, 古市 格, 小河 賢司, 山口 雄一, 中山 宗郎, 村田 雅和
    2024 年 73 巻 2 号 p. 355-357
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/05/13
    ジャーナル フリー

    【目的】足関節周囲骨折に対してはダメージコントロール目的の一時的創外固定術が施行される.創外固定術は骨折部と軟部組織を含めた局所の安静効果がある一方で,常にピン周囲感染の可能性がある.今回,次亜塩素酸を用いピン刺入部感染に対する効果を評価した.【対象と方法】対象は2023年4月から6月までに当院で施行したリング型創外固定5例,ホフマン型創外固定3例である.総ピン刺入部数は52箇所,創外固定の装着期間は平均9.4日.全ての症例に対し,二期的内固定を行うまで次亜塩素酸によるピン刺入部の洗浄および消毒を行い,The Checketts-Otterburn classificationで評価した.【結論】全ての部位でピン周囲感染を起こすことなくGrade 1または2であった.【考察】次亜塩素酸は微酸性で殺菌作用があり,弱塩基性で洗浄作用がある.これらを使用することはピン刺入部の感染予防に有益である可能性がある.

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