整形外科と災害外科
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急性化膿性股関節炎へと波及した小児腸骨・恥骨骨髄炎の一例
築谷 康人亀山 康弘梅木 俊伸河野 龍之助
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2010 年 59 巻 4 号 p. 802-805

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抄録

10歳男児.38度台の発熱,右股関節痛にて当院救急外来を受診.初診時,右股関節の疼痛および可動域制限は著明であった.MRIでは右股関節内の関節液の軽度増加を認めたが,寛骨には異常所見を認めなかった.関節液は穿刺吸引できなかったが,化膿性股関節炎を疑い抗生剤の経静脈投与を行った結果,炎症反応は改善した.しかし,第26病日,MRIにて右腸骨から恥骨にかけて輝度変化を認め,再度抗生剤投与を開始した.第39病日のMRIで右股関節内の関節液の増加,関節穿刺で排膿を認めたため,第40病日に急性化膿性股関節炎と判断し,洗浄ドレナージを行った.持続潅流および抗生剤投与にて炎症反応は改善し,MRI上での輝度変化も消失した.抗生剤投与および観血的治療にて良好な結果を得ることができた.今回,本症例の感染経路について,病歴とMRI所見から考察を行った.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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