整形外科と災害外科
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鏡視下Bankart,腱板修復術後に変形性肩関節症をきたした1例
中原 信一衛藤 正雄野村 賢太郎﨑村 幸一郎
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2013 年 62 巻 4 号 p. 685-689

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抄録

鏡視下Bankart及び,腱板修復術後に変形性肩関節症をきたした稀な1例を経験したので報告する.症例は58歳,男性.3年前に2回の左肩関節前方脱臼の受傷歴あり.山で作業中に転倒し左肩再脱臼し当院受診.徒手整復し3週間の三角巾固定を行った.その後保存的治療を試みたが左肩拳上時痛,挙上制限の改善がなくapprehension testは陽性,CTで骨性Bankart,MRIでは4 cmの腱板断裂も認めたことから,受傷後2カ月で鏡視下Bankart修復術および腱板修復術を施行した.術後に肩痛が増悪し,術後6カ月での単純X線,CT,MRIで変形性肩関節症性変化を認めた.術後12カ月頃より肩痛は軽減傾向となり,術後23カ月では肩関節の拳上制限は残存するもののapprehension testは陰性となった.鏡視下手術後に変形性肩関節症をきたした報告例はあるがその数は少なく,今後の検討が必要である.

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© 2013 西日本整形・災害外科学会
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