整形外科と災害外科
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輪状靱帯が整復阻害因子となっていた小児Monteggia骨折の一例
藤谷 晃亮山中 芳亮善家 雄吉目貫 邦隆酒井 昭典
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キーワード: Monteggia骨折, 小児, 輪状靱帯
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2013 年 62 巻 4 号 p. 759-762

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抄録

小児新鮮Monteggia骨折において輪状靱帯が橈骨頭の整復阻害因子になっていた一例を経験したので報告する.症例は10歳,男児.自転車で走行中に転倒した際,右肘部を打撲し同日当院を受診した.単純X線上,Monteggia骨折を認めた.同日,尺骨にキルシュナー鋼線を髄内に刺入し整復固定を行った.肘関節伸展位で橈骨頭の転位が軽度残存したため,近位橈尺関節をキルシュナー鋼線で仮固定した.術後8日目の単純X線上,橈骨頭の再脱臼を認めたため,初回術後14日目に再手術を行った.尺骨骨幹部に対するプレートを用いた骨接合後も橈骨頭の亜脱臼が残存し,腕頭関節内を観血的に確認したところ,同部に輪状靱帯が断裂せずに陥入していた.その陥入を解除すると解剖学的位置に整復可能となった.小児新鮮Monteggia骨折の治療において,尺骨の整復後も橈骨頭が整復できない症例においては,輪状靱帯が関節内へ介在している可能性があるため,初回手術時に腕頭関節の確認を行うことが重要と考えられた.

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© 2013 西日本整形・災害外科学会
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