整形外科と災害外科
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骨代謝過剰抑制(SSBT)による大腿骨転子下骨折の1例
田浦 智之朝長 匡飯岡 隆池田 倫太郎入江 準二木下 直江
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2014 年 63 巻 4 号 p. 773-778

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抄録

骨代謝回転過剰抑制が要因と思われる大腿骨転子下骨折の1例を経験したので報告する.症例は48歳,女性.屋外で突如右大腿部痛出現.体動困難となったため,当院救急搬送.X線上,右大腿骨転子下骨折を認めた.既往歴として17年前より全身性エリテマトーデスに対してステロイド内服しており,ビスフォスフォネート製剤内服歴は3年間であった.2週間前より右大腿部痛を自覚していた.骨折に対しては髄内釘による固定術を行った.ところが,術後仮骨形成不良であったため,骨代謝回転過剰抑制による非定型骨折が疑われた.ビスフォスフォネート製剤内服中止し,テリパラチド開始.しかし,今度は健側である左大腿部痛出現.X線上,左大腿骨転子下不全骨折を認めた.治療法に関して患者とのインフォームド・コンセントの結果,健側に対しては保存的療法,手術側に対しては遠位横止めスクリュー挿入術を行った.その後,両側とも仮骨形成を認めていたが,再度,手術側である右大腿部痛出現.X線上,髄内釘近位部の折損及び骨折部の再転位を認めた.そのため髄内釘による再固定術を行い,腸骨から骨移植術も併用.再々手術後9ヵ月現在,保存的療法を行った左側に関しては比較的経過良好であるが,手術的療法を行った右側は骨癒合遅延傾向であり,今後も引き続き厳重な経過観察が必要である.

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© 2014 西日本整形・災害外科学会
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