整形外科と災害外科
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Propionibacterium acnesによる手術部位感染により遷延骨癒合となった2症例
佐々木 大大石 正信山本 卓明岩本 幸英
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2014 年 63 巻 4 号 p. 898-903

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抄録

【目的】Propionibacterium acnes(以下P. acnes)の手術部感染で遷延骨癒合した2症例を経験した.文献的考察を含め報告する.【症例1】17歳女性.右鎖骨骨折に対し,近医でスクリューによる骨接合術を行われたが,遷延癒合のため骨移植・プレートによる再固定行った.しかし骨癒合せず当科紹介となった.抜釘を行い,採取した組織標本からP.acnes検出した.術後4週の抗菌薬投与で感染は鎮静化したが,広範な骨欠損が残存した.【症例2】25歳男性.左大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折に対し,大腿骨頭前方回転骨切り術を行った.術後5ケ月,骨切り部の遷延癒合を認めた.CTで骨溶解像あり,感染が原因と考えられた.抜釘を行い,採取した組織標本からP.acnes検出した.術後5週の抗菌薬投与・再固定を行った.【結論】術後の遷延骨癒合の原因として,P.acnesによる感染を念頭に置く必要がある.

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© 2014 西日本整形・災害外科学会
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