整形外科と災害外科
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ロッキング様症状を呈したfabello-femoral osteoarthritis(fabella OA)の1例
浦田 泰弘岡元 信和中村 英一西岡 宏晃唐杉 樹山部 聡一郎井手尾 勝政浦上 勝水田 博志
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2015 年 64 巻 4 号 p. 644-647

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抄録
ロッキング様症状をきたしたfabello-femoral osteoarthritisに対して,fabella摘出により症状の改善が得られた1例を経験したので報告する.症例は68歳女性.右膝窩部の引っかかり感と疼痛が出現し,ロッキング様症状を認めるようになったが自然整復していた.しかし,その後も症状が持続するため当科紹介受診となった.身体所見では,右大腿骨後外側に圧痛があり,単純Xp,CTにて大腿骨外側顆後面,腓腹筋外側頭内にfabellaが存在し,fabello-femoral関節に変性変化を認めた.MRIにて,同部位に軟骨欠損を認めた.疼痛とロッキング様症状が持続しfabello-femoral関節に変性変化があり,キシロカインテストで疼痛が消失したためfabella OAと診断した.関節鏡で大腿骨外側顆後面にfabellaのmirror lesionと考えられる軟骨欠損を伴う陥凹様変化を認めた.関節内に遊離体は認めなかった.膝窩部後外側皮切にて直視下に14×12 mm大のfabellaを摘出した.fabellaの表面には軟骨の欠損があり骨棘を形成していた.術後より症状は消失した.大腿骨外側顆後面に陥凹様変化があることからfabellaの同部位への陥頓によりロッキング様症状が生じたと推察される.
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© 2015 西日本整形・災害外科学会
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