整形外科と災害外科
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誘因なく生じたS-ROMステム遠位部破損の1例
青木 龍克前田 純一郎千葉 恒穂積 晃宮本 力米倉 暁彦富田 雅人尾﨑 誠
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2016 年 65 巻 3 号 p. 471-473

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抄録

【はじめに】特に誘因なく生じたS-ROMステム遠位部破損の1例を経験したので報告する.【症例】57歳女性.Crowe分類typeIVの脱臼性股関節症に対して,骨転子下骨切り併用人工股関節置換術(S-ROM,PINNACLE,臼蓋骨移植併用)を施行し,外来でフォローしていた.術後6年の股関節レントゲンで,ステムの遠位1/3のスリット後方に横断する破損を認めた.外傷などの明らかな誘因はなかった.軽度疼痛の訴えがあったものの,現在のところ1年間保存的に経過観察しており,疼痛は改善傾向である.今後,ステムの緩みや疼痛の増悪があれば,再手術の方針としている.【考察】S-ROMステム遠位部での破損は,我々の渉猟し得た限り,これまでに2例しか報告がない.いずれも本症例と同様,外傷のエピソードを伴わずに生じており,破損部位はステム遠位1/3のスリット後方であった.原因として,破損部位にbendingstressが集中し,金属疲労を生じたのではないかと推察される.

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© 2016 西日本整形・災害外科学会
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