整形外科と災害外科
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四肢すべてに波及した重症軟部組織感染症の1例
岩元 俊樹善家 雄吉濱田 大志栗之丸 直朗弓指 恵一岡田 祥明永吉 信介酒井 和裕酒井 昭典
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2017 年 66 巻 1 号 p. 1-4

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抄録

症例は57歳の男性で,特記すべき既往歴はない.受診10日前より誘因なく腰痛を認め,以後両手背部の腫脹,疼痛が出現した.症状の増悪と発熱,歩行困難のため,前医より壊死性筋膜炎の疑いで当院に救急搬送された.初診時,両前腕から手背に水疱形成を認め,特に右手部は軟部組織の腫脹,変色が急激に進行した.また,右膝関節痛と腫脹を認め,四肢壊死性筋膜炎,toxic shock-like syndrome,敗血症性ショック,右膝化膿性膝関節炎の診断で抗菌薬の投与,複数回の洗浄・デブリドマン,NPWTを行い,感染の沈静化後,両上肢の軟部組織欠損に対し,腹壁有茎皮弁,遊離広背筋皮弁術にて軟組織再建を行なった.経過中致死的な合併症を併発したが,他科との連携により救命し,機能肢を目標にリハビリテーションを継続中である.壊死性筋膜炎は急速に進行し,診断,治療の遅れが四肢切断や死亡に至る重篤な感染症であり,稀な病態である.四肢すべてに波及した重症軟部組織感染症(化膿性関節炎・壊死性筋膜炎)を救命・救肢し得た.

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© 2017 西日本整形・災害外科学会
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