2017 年 66 巻 4 号 p. 724-727
先天性腰椎高度すべり症は早期手術が勧められているが,%slip矯正の程度,固定範囲,骨癒合率,術後神経麻痺などが問題点となっている.症例は,8歳女児の先天性第5腰椎すべり症(Meyerding grade Ⅳ)で,半年前から殿部を後方に突き出す様な歩容異常(でっちり)を来たし,1ヵ月前から腰痛と両大腿後面痛が出現した.両腸腰筋・両長母趾伸筋はMMT4と低下し,アキレス腱反射は減弱していたが,膀胱直腸障害はなかった.脊髄モニタリング下にL4, 5 reduction screwとintra sacral buttress screwを用いてすべりと骨盤後傾を整復し,L5/S1 PLIF+L4/5 PLFと同種骨移植を行った.術前のPT 39゜,SS 33゜,Slip angle 36゜,%slip 85%が,術後PT 25゜,SS 45゜,Slip angle 2゜,%slip 0%と,良好なアライメントに整復された.術後7日目にでっちりは改善,術後1ヵ月で腰痛および両大腿後面痛は軽快,術後5ヵ月の単純X線像で矯正損失はなくCTでL5/Sに骨癒合を認めた.