整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
手指末節骨内に発生した類表皮嚢腫の1例
井上 隆広井上 三四郎松延 知哉岩崎 元気菊池 直士阿久根 広宣丸塚 浩助
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 69 巻 1 号 p. 154-156

詳細
抄録

【症例】類表皮嚢腫は手指軟部組織に発生することは多いが,まれに骨内に発生する.末節骨内に発生した1例を経験したので報告する.【症例】41歳男性.12歳時に左示指を受傷し,縫合処置を受けた既往がある.1.5年前に近医で偶然示指末節骨透亮像を指摘された.半年前より特に誘因なく左示指疼痛が出現し,骨透亮像の増大を指摘され当科紹介となった.MRI検査で骨透亮部はT1強調画像で低信号,T2強調画像で高度の高信号を示し,造影効果は認めなかった.初診より1.5ヶ月後,腫瘍掻爬及び人工骨移植を行った.培養陰性で,病理学的に類表皮嚢腫と診断された.術後1年で可動域に左右差なく,疼痛も軽減し経過良好である.【考察】本症を診断する際には,手の受傷歴を丁寧に問診することが重要である.

著者関連情報
© 2020 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top