整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
エホバの証人に対する整形外科手術治療の経験
髙橋 祐介島内 卓真島 久酒井 隆士郎瓜生 佳代野口 康男江口 正雄
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 69 巻 2 号 p. 369-370

詳細
抄録

輸血拒否を特徴とするエホバの証人に対する手術治療成績を報告する.対象は2004年から2018年の115症例,手術時間,出血量,術前後のHb値,術中回収式自己血輸血使用の有無,手術の際に生じる問題点について検討した.男性17例,女性98例,人工股関節置換術25例,寛骨臼移動術3例,人工膝関節置換術12例,脊椎6例,大腿骨頚部,転子部骨折14例,四肢骨接合術12例,抜釘その他43例であった.手術時間は平均121分,出血量は平均218 ml,術中回収式自己血輸血は5例に行った.[考察]エホバの証人は2014年から免責証書を持参せず,当院では新たに免責証書を作成した.使用できる血液製剤,自己輸血療法の内容を明記し,新たに親族のサイン欄も設けた.回収式自己血輸血は600 ml以上出血がないと診療報酬点数が取れず,エリスロポエチン製剤は術後貧血に対して適応がなく,治療費が病院負担となり大きな問題である.

著者関連情報
© 2020 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top