整形外科と災害外科
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大腿骨近位部骨折における,受傷後から来院までの時間(院外手術待機時間)の検討
植田 博也森田 周作
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2023 年 72 巻 4 号 p. 619-624

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抄録

[はじめに]大腿骨近位部骨折の治療においては,各国のガイドライン上,早期手術が勧められているが,受傷後すぐに受診しないケースも多く経験する.本研究では,2021年度当院で同骨折に対し手術施行した123例の,受傷から来院までの時間,受診が遅れた原因などについて調査した.[結果]受傷から受診までの平均時間は11.6時間(中央値2時間),受傷から3時間以内に受診した症例は60%,院外手術待機時間は総手術待機時間の23%を占めていた.また遅れの原因としては,様子をみていた,独居で連絡困難などが多かった.[考察]重篤な状態と認識されず受診が遅れるケースが多くあり,早期手術を可能とするためには,同骨折は緊急手術が必要な重篤な疾患であることを啓蒙する必要がある.また入院まである程度の時間を要することから,手術待機時間は,「入院から」ではなく,基本的には「受傷から」として論じるのが望ましいと考える.

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© 2023 西日本整形・災害外科学会
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