整形外科と災害外科
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受傷後4ヶ月後に診断された第1肋骨疲労骨折後偽関節の1例
五所 真之輔岩崎 達也成田 靖東 努津村 弘
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2023 年 72 巻 4 号 p. 710-712

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抄録

15歳男性,高校入学から陸上部に入部しトラック競技を始め,腕立て伏せ等の上肢筋力トレーニングを集中的に行っていたところ1ヶ月後に左肩痛を生じ,左上肢自動挙上困難となった.近医整形外科で肩関節周囲炎と診断され,鎮痛剤にて軽快した.受傷後4ヶ月後の学校健診で第1肋骨の骨腫瘍を疑われ当科紹介となった.疼痛や可動域制限はなく左第1肋骨の偽関節と思われる所見を認めた.上肢荷重動作や投球動作を禁止,また毎日10 kg以上のリュックを背負って登校するのも禁止したところ約1年で骨癒合が得られた.第1肋骨疲労骨折は比較的稀な骨折でスポーツに伴っての報告が散見される.オーバーヘッドスポーツに限らず,腕立て伏せでの発生も報告されている.特異的な所見に乏しく疼痛は肋骨部ではなく肩甲部,肩関節周囲に出現しやすいため見逃される可能性がある.保存療法にて予後良好な骨折であるが,外科手術が必要になる症例報告もあり,中高生スポーツ選手の肩甲部,肩関節周囲痛では,鑑別として注意が必要であると思われた.

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© 2023 西日本整形・災害外科学会
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