整形外科と災害外科
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Trunnionosisによる折損例に対する人工股関節再置換術の経験
生田 拓也柳澤 哲大
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2024 年 73 巻 3 号 p. 458-461

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抄録

trunnionosisにより人工股関節のネックの折損が生じ,再置換術を行った1例を経験したので報告した.症例は73歳,女性,11年前62歳時に前医でmetal on metalの右人工股関節置換術を受けた.術後10年を過ぎた頃より右股関節痛が再発してきた.風呂掃除をして立ち上がる際に右股関節に激痛が出現し歩行不能となり当院へ救急搬送された.Xpにてネックが折損し上方へ転位していた.1週間後に再置換術を行った.インプラントの明らかなゆるみはなかったが,全抜去を行い再置換術を行った.術後2年の現在,Xpにて問題なく独歩可能である.本症例はmetal on metal THAそのものではなくmetal on metal THAを用いることに伴う大骨頭径骨頭の使用がtrunnionosisの一つの引き金になっていたことが考えられた.TMZF合金のステムと大骨頭径のCo-Crヘッドの組み合わせで使用されたTHAにおいては注意深い経過観察が必要であると考えられた.

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© 2024 西日本整形・災害外科学会
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