2007 年 104 巻 4 号 p. 561-567
症例は33歳の女性.主訴は下血.アルコール性肝硬変を指摘されている.既往に開腹手術歴がある.上部·下部消化管内視鏡検査を施行したが出血源を認めず.出血シンチグラフィー,上腸間膜動脈血管造影,同動脈造影下CTにおいて回盲部よりの出血と診断し開腹手術を施行した.卵巣と回腸末端の癒着があり,同部に静脈瘤の形成を認めたため回腸部分切除術を行った.門脈圧亢進をともなう消化管出血例で,開腹術既往のある症例では小腸静脈瘤も考慮する必要があると思われた.