日本消化器病学会雑誌
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今月のテーマ(総論):原発性硬化性胆管炎診療の最前線
  • 伊佐山 浩通, 福間 泰斗, 藤澤 聡郎
    2025 年 122 巻 4 号 p. 227-234
    発行日: 2025/04/10
    公開日: 2025/04/10
    ジャーナル 認証あり

    原発性硬化性胆管炎は依然原因不明な難治性希少疾患であるが,増加傾向にあり,病態に関しても少しずつわかってきた.今回診断基準を改訂し,small duct type,小児例,肝移植後再発例の診断を盛り込み,MRCPを中心に低侵襲に診断できるように心がけた.参考所見となるような胆道鏡なども研究が進んできており,特異的抗体と思われるanti-integrin αvβ6自己抗体が発見され,有用性も検証された.今後早期診断にも有用と考えられる.治療に関しては,ウルソデオキシコール酸の予後改善効果が本邦から報告された.今後は,病態に関与すると考えられる腸内細菌叢をコントロールする治療法が進歩しそうである.

今月のテーマ(総説):原発性硬化性胆管炎診療の最前線
  • 岡田 はるか, 金井 隆典, 中本 伸宏
    2025 年 122 巻 4 号 p. 235-247
    発行日: 2025/04/10
    公開日: 2025/04/10
    ジャーナル 認証あり

    原発性硬化性胆管炎は,肝内外の胆管に多発性・非連続性の狭窄が発生し,胆汁うっ滞から肝硬変に至る慢性炎症性疾患である.肝移植以外に根治的治療法が存在しない難治性疾患であり,肝移植ドナー患者数の限られた本邦では特に明確なunmet needsが存在する.本疾患は遺伝因子,免疫学的因子,環境因子など複合的な要因が病態の形成に寄与する多因子疾患と考えられているが,近年病態の解明と新規治療開発が進められている.本稿では特に腸内細菌の関与に着目して,原発性硬化性胆管炎の現状について概説する.

  • 内藤 格, 中沢 貴宏
    2025 年 122 巻 4 号 p. 248-255
    発行日: 2025/04/10
    公開日: 2025/04/10
    ジャーナル 認証あり

    本邦においては2016年に原発性硬化性胆管炎(PSC)診断基準が提唱され用いられてきたが,PSC診断基準2024(PSC2024)に改訂された.PSC2024では小児のPSCやsmall duct PSCの診断に加え,肝移植後のPSC再発診断も可能となった.PSC2024では画像所見,炎症性腸疾患の合併,血液検査,組織像の4項目の組み合わせにより,large duct PSCおよびsmall duct PSCの診断を行う.PSCの診断にはIgG4関連硬化性胆管炎などの鑑別すべき疾患を除外する必要がある.肝移植後のPSC再発診断は,移植前のPSC診断,組織像,胆管所見の組み合わせにより診断を行う.

  • 梅津 守一郎
    2025 年 122 巻 4 号 p. 256-268
    発行日: 2025/04/10
    公開日: 2025/04/10
    ジャーナル 認証あり

    原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis;PSC)は,肝内外胆管のびまん性炎症と閉塞性線維化を特徴とする慢性肝胆道系疾患である.小児PSCは,自己免疫性肝炎や炎症性腸疾患を高率に合併する.小児PSCの診断は胆道像に基づくが,肝生検と大腸内視鏡を積極的に実施する.除外すべき二次性硬化性胆管炎として,遺伝性肝疾患など小児期特有の疾患に注意が必要である.また新規治療の開発はアンメットニーズの1つであり,腸内細菌叢をターゲットとした抗菌薬が注目されている.肝移植で根治するが,移植後再発が問題となる.小児PSCの病態解明が進み,治療開発につながることが期待される.

  • 八木 真太郎, 羽賀 博典, 伊佐山 浩通
    2025 年 122 巻 4 号 p. 269-277
    発行日: 2025/04/10
    公開日: 2025/04/10
    ジャーナル 認証あり

    原発性硬化性胆管炎(PSC)に対する肝移植は,移植後も再発をきたすことが多いことが課題である.移植後は拒絶や胆管炎などの修飾を受けることに加え,診断基準の曖昧さが指摘されてきたため,難治性疾患政策研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班において移植後PSC再発における診断基準(案)を作成した.本邦からリツキシマブを使用したPSCのレシピエントは再発が少ないことが報告され,再発に液性免疫が関連していることが示唆された.他方で潰瘍性大腸炎とPSCに共通する自己抗体の候補である抗インテグリンαvβ6抗体が同定されたことから,PSCの再発を抑制させる創薬開発に繋がる可能性が期待されている.

原著
  • 保田 和毅, 岡信 秀治, 河野 友彦, 池田 敏庸, 岡本 拓也, 福田 佳保, 宮木 英輔, 弓削 亮, 南 智之, 古川 善也
    2025 年 122 巻 4 号 p. 278-287
    発行日: 2025/04/10
    公開日: 2025/04/10
    ジャーナル 認証あり

    大腸ステント留置術は処置時間が長くなることで重篤な偶発症を発症するおそれがある.今回,大腸ステント留置術を施行した92例を対象に,短期治療成績および処置時間を長くする処置困難因子を明らかにするため検討を行った.技術的成功率95.7%,臨床的成功率92.4%,全処置時間中央値37分,ステント留置時間中央値23分であった.穿孔率は3.3%であったが,ステント留置に関連した死亡は認めなかった.全処置困難因子は右側結腸病変,正面視困難病変で,ステント留置困難因子は狭窄長が5cm以上,正面視困難病変であった.大腸ステント留置術は成功率が高く安全だが,特に正面視困難病変は処置に時間がかかり注意が必要である.

症例報告
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