2008 年 105 巻 12 号 p. 1711-1721
メタボリック症候群は虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患の危険因子になるということで注目されている疾患である.その発症の基盤には内臓脂肪の蓄積およびそれにともなって生じるインスリン抵抗性が存在する.心血管疾患以外に消化器疾患との関連も指摘されており多くの研究が行われている.単純性脂肪肝の一部がNASHへ進展するが,そこには肥大した脂肪細胞が分泌するアディポカインやインスリン抵抗性が大きく関与する.胃食道逆流症との関連もあり,その発症には内臓脂肪沈着による腹腔内圧の上昇が大きく寄与する.食道腺癌や大腸癌などの癌との関連も指摘されており,アディポカインやインスリン抵抗性にともなう高インスリン血症の関与が大きい.