わが国では高齢化社会を迎えて,アスピリンを含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に起因する消化管出血および消化管癌が増加している.これら疾患は頻度が高く,病診連携が必要であり,また緊急性を要する疾患として地域医療に携わる医療関係者,行政は対応しなければならない.消化管出血では,後方医療機関への紹介も含めた迅速かつ適切な対応が必要となる.消化管癌においては「病気を治す」ことのみならず,「病気を予防する,検診などで病気を早期に発見する」こと,すなわち1次·2次予防が重要である.消化管疾患における地域医療の整備には,この分野に従事する医師のための内視鏡研修を含む教育システムの構築,消化器専門医と協力できる体制作りが望まれる.