急性肝不全は予後不良の疾患群であり有効性の明らかな治療法は肝移植のみである.しかし本邦ではドナー不足の問題があり,内科的治療が治療の主体となっている.内科的治療として免疫抑制療法(ステロイド),抗凝固療法,抗ウイルス療法(核酸アナログ),人工肝補助療法などによる集学的治療が行われている.急性肝不全の予後は成因と病型に規定されるため,内科的治療はそれらに応じた指針が作成されるべきであるが,疾患の稀少性・致死性のためランダム化比較試験を行いにくく,議論の余地のある項目も多く存在する.今後は多施設共同試験などによってエビデンスを構築し,一方で再生医療などの基礎的研究を進めていく必要がある.