2017 年 114 巻 7 号 p. 1217-1223
切除不能進行再発大腸癌では全身化学療法が標準治療である.近年その進歩は著しい.それは,次々と新規抗癌剤や分子標的治療薬が承認・臨床導入されたことの影響が大である.各種薬剤の適切な治療実践,RAS遺伝子診断による抗EGFR抗体薬を用いた治療の個別化,後方ラインにおけるマルチキナーゼ阻害薬のregorafenibや,新規ヌクレオシド系抗癌剤であるTAS-102の承認などにより,大腸癌の治療成績は近年飛躍的に向上し,生存期間中央値は30カ月に達している.近年のトピックとして,MSI-high大腸癌における抗PD-1抗体薬の有効性が報告され,今後の展開が期待される.