2021 年 118 巻 9 号 p. 797-804
脂肪肝診療の中心はアルコール性肝障害(ALD)から非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に移っている.脂肪肝の原因はALDなど多岐にわたるが,肥満症や2型糖尿病が蔓延する現代では,メタボリックシンドロームを基軸にした病態の理解と診療指針の樹立が重要で,過度にアルコール摂取量の多寡を問題にすることは合理的ではないとの考え方も散見される.本稿では,NAFLDの病態を理解するうえで重要な肥満・2型糖尿病,インスリン抵抗性,遺伝的素因について述べるとともに,病態発生仮説の変遷,および,疾患概念の現況について触れてみたい.