腸管上皮は個体内で生涯に渡って最も活発に更新され続ける臓器であり,それを維持しているのは腸管上皮陰窩底部に存在する腸管上皮幹細胞であると考えられている.腸管上皮は本来再生能力の高い組織と考えられているが,難治性炎症性腸疾患では,上皮再生が長期に渡り遷延することが時に致命的となる.しかしながら未だ腸管上皮幹細胞の由来,特徴づける特異的発現分子や増殖/分化を調節するメカニズムの詳細は明らかでない.われわれが見いだした骨髄由来腸管上皮細胞を中心に,上皮再生を目指した難治性炎症性腸疾患の新規治療法の可能性につき概説する.