日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ヒト胃癌のヌードマウスへの移植
3.可移植性ヒト胃印環細胞癌の組織学的並びに粘液組織化学的検討
宮城 信行小西 陽一中谷 勝紀江崎 友通高橋 精一丸山 博司江見 葉子白鳥 常男
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1982 年 79 巻 10 号 p. 1911-1917

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抄録

ヒト胃印環細胞癌のヌードマウスへの継代移植に成功し,生着率,倍加時間,組織所見と粘液性状を検討し以下の結果を得た.
1)19代目までの皮下での生着率は100%であつた.2)初代の倍加時間は,16.8±7.7日であったが,8代目以降は8.1±1.4日と短縮し,増殖速度は増大した.3)組織学的に移植に用いたリンパ節転移巣は,円形の核を持つ小型の細胞半月状又は三日月状の核を持つ細胞や核の不明瞭な大型の細胞の混在する印環細胞癌であり,継代腫瘍でもその組織像は保持されていた.4)粘液性状はリンパ節転移巣ではPAS (++),pH 2.5AB (++),pH 1.0AB (±),HID-AB (+)で多くはnonsulfated acid mucinでありsulfated acid mucinの分泌もわずかにみられた.継代腫瘍のそれも同様の性状であった.

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